福島第一原発3号機を極小ドローンで調査 圧力容器底の「つらら状」デブリ撮影に成功:ドローン(2/2 ページ)
東京電力は、福島第一原発3号機の原子炉格納容器内で、マイクロドローンを用いた気中部を調査した。人が近づけない高線量エリアの狭く暗い空間を飛行し、圧力容器底部に付着するデブリの鮮明な撮影に成功した。これまでの有線ロボットやカメラ付きパイプではアプローチが難しかった土台周辺などのデータも取得し、PCV内部の高精度デジタルツイン(3D点群データ)化が可能になる。
圧力容器の底に「つらら状」のデブリを確認、今後は3D点群化へ
2026年3月5日から開始した調査は、3月9日までに原子炉を支える土台(ペデスタル)の外側を飛行し、初期飛行や点群化用の撮影を実施した。その後、3月10日以降はペデスタル内部へと侵入。約2週間の期間中に計20回ほどの飛行を行い、機体の不具合など大きなトラブルを起こすことなく、3月19日に全日程を計画通りに完了した。
今回の調査でハイライトとなるのが、3月17日に実施したRPV(原子炉圧力容器)底部付近の撮影だ。
公開された映像をつなぎ合わせた画像では、圧力容器の底や制御棒駆動機構の一部とみられる構造物に加え、熱で溶け落ちた後に冷えて固まったと推測される“つらら状”の付着物がはっきりと確認できる。溶融した核燃料(燃料デブリ)や構造物の一部の可能性が高い。
さらに、ペデスタル内部の水面付近に落下した構造物の状況もカメラに収めた。従来の有線ロボットやカメラ付きパイプなどでは、アプローチ自体が難しかった空間をドローンならではの自由な視点で立体的に記録。東京電力は取得した映像をもとに、PCV内部の高精度な3D点群データを作成する方針を打ち出している。
福島第一原発の1〜3号機には合計で約880トン、3号機単体でも約364トンの燃料デブリが存在すると推計されている。3号機では2037年度以降、デブリの大規模な取り出しに着手する計画を立てており、そのためにもPCV内部の詳細な状況把握が不可欠となる。
建設業界でも普及が進むドローンや3Dレーザースキャナー技術だが、過酷な放射線環境下かつ完全な閉鎖空間での自律・遠隔飛行は、世界屈指の難易度を誇るミッションだともいえる。今回のマイクロドローンによる調査成功は、デジタルツイン技術との連携も含め、今後の安全で確実な廃炉計画の立案を力強く後押しする。
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