遠隔通話を“資産”に変える! クアンドが現場の「暗黙知」をAIで議事録化:第10回 JAPAN BUILD TOKYO(2/2 ページ)
福岡県北九州市発スタートアップのクアンドは、遠隔コミュニケーションツール「SynQ Remote」の最新アップデートでAI議事録の機能を追加した。通話をその場限りで終わらせず、会話と写真をひも付けて記録し、要約や是正指示、報告書作成までを支援する。移動と事務作業の負荷を抑え、日常のやり取りを知見として蓄積するのが狙いだ。
会話を残して“情報資産”として生かす「AI議事録」
そのSynQ Remoteに今回、搭載された新機能がAI議事録だ。ただ、議事録といっても、かしこまった会議や打ち合わせだけを意識したものではない。現場での日常的な会話や確認事項まで、SynQ Remote上のコミュニケーションを議事録として整理する。やり取りをその場限りで終わらせず、記録し、要約や報告書としてまとめ、正確な指示を伝えて作業の抜け漏れを防ぐ。
AI議事録の機能としては、写真付き現場議事録を作成できる。会話のテキスト化にとどまらず、映像や写真を含む「現場状況」をセットで残せる。担当者は「普通の議事録は文字情報だけのものが多いが、当社のサービスは会話中にやり取りした視覚的な情報も残せる点が強みだ」と優位性を説明する。話者分離にも対応し、「誰が、いつ、何を話したか」を追えるため、指示や確認事項を証跡として後から見返せる。
是正指示の作成支援では、会話しながら写真を撮るだけでAIが指示内容を整理する。チャットでの指示やExcelへの記録、写真整理など、書類作成に要する手間削減につながる。
報告書作成では、会話と記録をベースにAIが内容を要約し、報告書の体裁にまとめる。「何月何日、どこの現場で、これから現場調査を開始する」といった導入の会話から始め、やり取りを続けるだけで、自動で報告書ができあがる。報告書のフォーマットは会社ごとに設定可能で、作業実績に加え、天気や気温など、必要項目を追加した帳票に出力もできる。
AI議事録の目的は、「きちんとした議事録」づくりそのものではない。担当者は「協力会社との日常的なやり取りや現場の小さな確認を自動で拾い上げるところに価値がある」と強調。会話の記録が残ることで、後から「なぜそう判断したのか」「どこを確認したのか」を追跡できる。若手が分からなかった点や注意事項に加え、熟練技術者が経験の中で培ってきた「勘所」や「判断基準」といった暗黙知が、「映像+音声+AI議事録」として蓄積されれば、新人教育や技術継承の情報資産に成り得る。
なお、議事録作成の精度については、担当者は「現時点では、現場の専門用語まで常に完璧に書き出せる段階ではない」とし、用語の読み込みなどで改善を続ける方針を示す。
SynQ Remote導入企業は約160社、検査領域にも波及
SynQ Remoteの導入件数は2025年12月現在で約160社まで広がり、大手での採用も増えているという。
最近では、移動コスト削減や人手不足への対応を狙った遠隔化ニーズに加え、新たな領域でもリモート活用が動き始めている。例えば、ハウスプラス住宅保証が行う建築確認検査の遠隔運用(国土交通省の枠組みに沿う「リモートB」=検査者のリモート検査)でSynQ Remoteが採用され、2024年5月から複数エリアで本格運用が始まっている。
SynQ Remoteの活用が施工現場にとどまらず周辺業務へ広がる中、クアンドは今後も、使い方の提示に加え、企業ごとの運用ルールづくりまで踏み込む伴走支援を強める方針だ。現場の会話を記録として残し、価値ある資産へ転換する運用を後押しする。
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