「金属に内蔵」できる革新的アンテナ技術 パナソニックが無線通信の弱点克服:無線ネットワーク(2/2 ページ)
近年、スマートフォンやカメラなど、通信機能を持つ各種端末は日常生活で欠かせない。世界的にその数量は右肩上がりで、今後もさらなる増加が見込まれる。そうした中でパナソニック エレクトリックワークス社は、無線通信のボトルネックだった「金属」に内蔵できる独自のアンテナ技術を開発し、IoTのさらなる普及を後押しする。
従来技術では不可能だったアンテナの金属内蔵を実現
パナソニック EW社はこれまでに照明器具をはじめ、レストランなどの呼び出しベルや住宅用火災警報器など多様な製品で無線化を実現し、独自のアンテナ設計技術を蓄積してきた。
2019年には、外部の金属から影響を受けづらいことを意味する「金属ロバスト性」を向上させる原理を解明した。その後、金属に近接または内蔵できるアンテナを独自開発し、業界をリードしている。
原理としては、細い隙間(スロット)を設けた金属外装「スロット付きキャビティー」と内蔵アンテナを共振させ、金属外装自体をアンテナとして動作させる。外部に電波を放射しやすい構造となっており、金属壁面が多い工場などでも導入できる。通常の無線モジュールもそのまま使えるため、コストや工数を掛けずに金属ロバスト性を持つアンテナを実現した。
製品としては、2019年に無線調光のLEDスポットライトに搭載して実用化した。金属と一体化して無線アンテナを設置可能なため、高いデザイン性も確保した。
2024年にはさまざまな周波数で製品展開し、スマートフォンアプリで風量調節できる空調機器などにも活用している。
マルチバンド対応で広がる無線ネットワークの未来
パナソニック EW社は、金属ロバストアンテナ技術を住居からビル、工場まで快適で安定した無線ネットワークを提供する鍵となる技術と位置付ける。外付けでアンテナを設置する必要がないため、スタイリッシュな外観を確保できるとともに、施工性や設置自由度が向上し、金属類が多い施設などへの展開も容易になる。
無線システム開発課の武居厚志氏は、「アンテナを金属に内蔵すれば、放熱設計や消防法などの法規制などにも対応しやすい。コスト、強度へのメリットも大きく、事業者とエンドユーザー双方に大きな価値をもたらす」とその重要性を強調した。
最近では、1つの金属外装で異なる2つの周波数帯域が同時に通信できるマルチバンド対応技術も確立した。2026年には、マルチバンド対応機能を搭載した高天井照明の発売を予定している。
従来製品では、工場などの広い空間に電波を届けるための920MHzと、体育館といった比較的狭いエリアをカバーできる2.4GHzの2種類を別々に対応していた。帯域が異なる製品を一体化することで、施工時の取り付けを効率化し、施設内で統一感を持たせた照明器具の設置も可能になる。
今後の目標として、2027年には本技術を適用できる範囲を拡大し、さまざまな機材への互換性向上に取り組む。
武居氏は「住まいやビル、インフラの隅々まで無線ネットワークを張り巡らせることで、安心・安全で健やかな社会を実現させたい。その目標に向けて、さまざまな機材への搭載は不可欠だ。小型化や薄型化などの技術開発にも着手し、目標達成を目指す」と方向性を語った。
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