「止まらない通信」を支えるパナソニックのネットワーク機器 文科省GIGAスクールの問題を解消する新HUB来年発売:次世代のスマートビル(1/3 ページ)
企業の事業継続性にも関わる通信ネットワーク機器で、パナソニックEWネットワークスは家電や住宅設備で培ったノウハウを生か、過酷な環境でも“止まらない通信”を実現する製品を市場に供給している。日本品質への徹底したこだわりと「現場の声」を反映した設計思想は、オフィスにとどまらず、文科省の施策に後押しされた学校施設などのニーズにも応えられる。
パナソニック エレクトリックワークス社傘下のEWネットワークスは、建物OSを中心にスマートビルの実現を提案する「保守/サービス事業」、設備システムを一括運用管理する「ネットワーク事業」、カメラや入退室の設備を扱う「設備システム事業」、スイッチングハブや無線アクセスポイントを販売する「ネットワーク機器事業」の4事業を展開している。
このうちネットワーク機器事業では、単に通信が「つながる」ことを目的にしておらず、「止まらない通信」を目指しているという。オフィスなどでネットワークが不安定になったり途切れたりすれば、事業の停滞や損失にも直結する。避けるために一般的なオフィス環境を前提とするだけでなく、工場、鉄道施設、半屋外など、より過酷な環境下での使用を想定して製品設計と評価試験に注力している。
ネットワーク機器事業を担当する商品開発部 商品開発一課 課長 今西宏行氏、商品事業企画部 商品企画課 課長 吉國雄貴氏に、スイッチングハブ開発の裏側や2026年に上市する新製品の狙いについて伺った。
パナソニック製ネットワーク機器は、他にない厳格な試験をクリア
製品開発に携わる今西氏によれば、特に他社との差別化になっているのが、「試験の厳格さだ」という。「大阪府門真市の日本でもトップクラスの規模を誇る施設で、落下や振動、衝撃、温度変化、静電気といった約150項目ものテストを実施している」と説明する。
その一例を示す雷サージ試験では、国際規格で耐性の上限が4kVと定められているが、10kVまでの耐性試験を行う。今西氏は、「試験のためにメーカーと共同で、テスト用機器までも開発している。国際規格に対して2倍以上の雷サージ耐性を持つ製品だからこそ、雷が多発する地域でも安心して利用できる」と強調する。
製品デリバリーでも、国内工場で最終工程を組み立てるため、交換が必要な事態が発生しても最短で翌日に出荷。保守サービスでも未開封新品の代替機を提供し、現場のダウンタイム最小化も徹底している。こうした妥協のない品質管理とスピーディーな対応力が、信頼性の根拠となっているようだ。
GIGAスクール構想第2期に応える「オールパナソニック」の提案
パナソニックEWネットワークスの製品企画には、ネットワークインフラを支えたいとの思いが込められている。
近年の通信ネットワークを取り巻く社会変化としては、自然災害の甚大化とともに、深刻なIT人材不足も叫ばれている。ゲリラ豪雨による落雷件数は年々増加傾向にあるが、先に触れた雷サージへの対応は、落雷があっても可能な限り壊れない堅牢性を製品に付与した例だ。機器が損壊しなければ、復旧のための人員も少なくて済み、技術者不足の中で省人化にも寄与する。
技術進化では、Wi-Fi化が進んだことが挙げられる。モバイル端末が一般化したことで、クラウド接続時の高速化とセキュリティへの関心が高まった。また、クラウドとモバイル端末を教育現場に普及させる「GIGAスクール」という政策面での動きも影響している。
GIGAスクール構想は、児童や学生に1人1台分の端末と高速大容量のネットワークを整備し、教育の質向上と子どもの可能性を引き出すことを目的とした文部科学省の政策だ。2020年度の第1期に続く、第2期が2024年度から始まっているが、2024年度調査では文科省が推奨する通信帯域を満たさない学校は全体の8割を占める結果となった。第2期では、その是正が求められている。
吉國氏は「学校での通信品質の課題は、無線アクセスポイントそのものの問題というよりは、アクセスポイントを用いたシステムの構築や機器の設定に起因しているケースが多い」と指摘。パナソニックEWネットワークスが2026年1月21日に発売するスイッチングハブと無線アクセスポイントには、こうした問題点を解消する性能と機能を搭載している。
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