「原宿クエスト」に込めたNTTファシリティーズの設計意図 表参道けやき並木より高い6層実現:プロジェクト
NTTファシリティーズは、2025年9月11日に開業した東京都渋谷区の複合ビル「原宿クエスト」の設計・監理を手掛けた。建築家集団「OMA」と連携し、表参道と原宿エリア/竹下通り側の間に新たな人の流れを創出する都市空間の再編を計画。竹下通り側に日影制限が掛かるため、建物ボリューム形状をシミュレーションで検討し、表参道のけやき並木より高い6層の建築物を具現化させた。
NTTファシリティーズは、東京都渋谷区で2025年8月29日に竣工した「原宿クエスト」の設計・監理を手掛けた。新しく生まれ変わった原宿クエストは、1988年の開業以来、原宿カルチャーとともに歩んできた旧原宿クエストの歴史と精神を受け継ぐとともに、人々の交流を促す建築物となっている。
表参道と原宿、竹下通りをつなぐパサージュで、人々の交流を促す空間を創出
設計に当たってNTTファシリティーズは、建築家のレム・コールハース(Rem Koolhaas)氏らによって設立された建築家集団「OMA」と連携。ニューヨーク事務所代表でパートナーの重松象平氏がデザインアーキテクトとして参画し、地域の歴史を継承しつつ、都市空間の再編を図り、原宿エリアに革新的な景観や体験価値を提供する建物を目指した。
設計コンセプトは「Re:HARAJUKU CULTURE」で、表参道や原宿の新たなランドマークと位置付けた。敷地は、「大通りに面してブランドの旗艦店が多く立ち並ぶ都市的な表情をもつ表参道側」と、対照的に「小さな通りや小規模な建物が並ぶ原宿エリア/竹下通り側」の異なる街の顔を持つエリアに面する。二面性を持つ街並みを一体的につなぐ、新たな人の流れを創出するため、敷地内にパサージュを通し、表参道側入口では外壁を一部セットバックさせて表参道の人の流れを誘引する計画とした。
建物のデザインは、街が持つ二面性を反映させた特徴的な外装とした。建物ボリュームや耐震性も確保し、多様な用途に対応できる柔軟性と利便性を備える。
原宿クエストの外観。写真右側(表参道側)は、けやき並木の列を意識した縦基調のガラスとし、写真左側(原宿エリア/竹下通り側)は、階段状にセットバックして街のスケール感に沿わせた横基調のファサード 出典:NTTファシリティーズプレスリリース
日影制限のシミュレーションで、表参道けやき並木より高い6層実現
住居地域の竹下通り側には日影制限が掛かるが、逆日影検討で建てられる最大限の建物ボリューム形状を逆算でシミュレートし、表参道のけやき並木より高い6層(地下2階、地上5階、塔屋1階)を実現。構造計画では、エレベーターや階段周辺部に座屈に強いブレースを導入した耐震フレームと、ねじれた外壁面に沿って配置した鉛直荷重のみを受ける構造フレームの構造システム2種類を機能別に採り入れた。また、構造体を建物外周部へ集約することで、テナント空間を無柱化し、テナントスペースの利便性や柔軟性を確保した。
外装ガラスファサードにはLow-Eガラスを導入し、熱環境負荷の低減も図った。他にも入居テナントそれぞれの多様な使われ方や空調要求に対応するように、小型の水熱源ヒートポンプ機構を搭載した「水熱源個別空調方式」を採用。熱源は冷却塔と空冷ヒートポンプチラーを組み合わせ、冷暖房需要に合わせた高効率でコンパクトな構成とした。
NTTファシリティーズは、原宿エリアで「ウィズ原宿」を拠点に「原宿クエスト」を含む複数の建物の維持管理も担う。そのため、開発時の設計・監理だけでなく、維持管理者として建物に永く関わり続け、エリア全体の価値向上に貢献するとしている。
「原宿クエスト」の建物概要
所在地:渋谷区神宮前1丁目13-14
敷地面積:1956.49平方メートル
延べ床面積:7513.18平方メートル
構造:高層棟S造一部SRC/RC造、低層棟RC造
規模:地下2階、地上6階、塔屋1階
用途:物販店舗、飲食店舗、サービス店舗、事務所、自動車車庫
事業主:NTT都市開発、H-QUEST(東京センチュリーとNTT都市開発が出資するSPC)
設計・監理:NTTファシリティーズ
デザインアーキテクト:OMA/重松象平
施工:熊谷組
工期:2022年10月〜2025年8月
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
街づくりDXサービスを渋谷の「Shibuya Sakura Stage」に導入、東急不
東急不動産とTFHD digitalは、街づくりDXサービス「Machi-wai」を東急不動産が運営する施設に導入した。デジタルスタンプラリーや電子ギフト配布などに活用するとともに、取得データを分析することでデータドリブンな街づくりを進めている。
建物点検を画像異常検知AIで代替できるか、NTTファシリティーズとリルズが実証開始
NTTファシリティーズとLiLzは、画像異常検知AIを活用した施設管理サービスの本格運用に向けて、東京/大阪エリアのNTTファシリティーズが管理する建物で実証を開始する。
優秀FM賞を受賞したNTT西の新本社プロジェクト コロナ禍を経て見い出した新FM戦略
NTT西日本は、2018年からコロナ禍を経て4年がかりとなった本社移転プロジェクトで、通信設備の安全、社員の働きやすい環境、アセットの有効活用という3つの観点から、新たなFM戦略を立案して実践している。その取り組みが高く評価され、JFMA賞で「優秀FM賞」を受賞した。
パナソニック ホームズ、地震被災リスク推定システム「P-HERES」2025年版の試験運用を開始
パナソニック ホームズは、地震被災リスク推定システム「P-HERES」の2025年版の試験運用を開始した。従来のピンポイント地点単位からエリア単位での被災リスク推定が可能となり、大規模震災時の復旧、支援対応をより迅速化できる。
JFMA調査研究会の取り組みにみる、ESG/SDGsにFMはどう向き合うべきか?
本連載では、日本ファシリティマネジメント協会(JFMA) 専務理事 成田一郎氏が「JFMA調査研究部会のFM探訪記」と題し、JFMA傘下で、マネジメントや施設事例、BIM×FMなどの固有技術をテーマにした合計18の研究部会から成る「調査研究部会」での研究内容を順に紹介していく。第10回は、SDGsにFMがどう向き合って取り組んでいるかJFMA調査研究部会を紹介する。
札幌にハイアットホテルが初進出、NTT都市開発が札幌市で開発を進める複合施設に入居
NTT都市開発は、「(仮称)札幌北1西5計画」として札幌市中央区で開発を進めている複合施設におけるホテル部分の詳細を公表した。





