風力発電所の廃棄ブレードから電力創出、照明などに利用 前田建設工業などが実証:カーボンニュートラル
前田建設工業、オフグリッド・デザインコンソーシアム、トライポッド・デザインは、超小集電技術を活用し、風力発電所の廃棄ブレードを再利用して電力を生み出す再生循環型の発電プロジェクトを開始した。
前田建設工業は2025年12月11日、オフグリッド・デザインコンソーシアム(OGD)と、OGDの主催者であるトライポッド・デザインと共同で、トライポッド・デザインの超小集電(Micro Power Collection)技術を活用した再生循環型の発電プロジェクトを開始したと発表した。風力発電所の廃棄ブレード(風車の羽)を利用して電力を創出する実証を行い、歩道や庭園などの夜間照明として十分に活用できるレベルであることを確認した。
風力発電設備のブレードは、一般的に10〜15年での交換が推奨されている。ブレードはガラス繊維や炭素繊維を熱硬化性樹脂などで接着した複合構造で、素材ごとの分離が難しく、多くが埋立や焼却処分されている。
超小集電技術は、土壌や水中、植物、生体、コンポスト(堆肥)、産業廃棄物などあらゆる対象を媒体に、コンダクターと呼ばれる集電材によって微小な電気エネルギーを収集する技術。3者は今回、風力発電所で使用されていた廃棄ブレードをコンダクターとする超小集電技術を用いた超小集電セル(電池)により、前田建設工業の技術研究部門「ICI総合センター」の敷地で実証を実施した。
その結果、超小集電により3ルクス程度の明るさを実装し、歩道や植栽周りの夜間照明として活用できることを確認。さらに実験に使用した超小集電セルは、破砕した廃棄ブレードを追加することで、土壌を活用したセルよりも集電性能が向上することが分かった。
今回の取り組みにより、廃棄ブレードの有効活用に加え、風力発電における産業廃棄物の減量化や処理コストの低減といった新たな価値を創出する可能性が示された。前田建設工業は今後も、ICI総合センターでの技術検証を継続し、風力発電所内やその周辺地域での社会実装を目指す。
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