「建設業の7割超でIT人材不足、海外人材の必要性高まる」ヒューマンリソシア調査:調査レポート
ヒューマンリソシアは、建設業界の人材不足の見通しと海外人材活用の実態を建設従事者345人にアンケート調査し、vol.2として発表した。その結果、他産業と比べてDX導入が約1割遅れていることが判明。約72%の企業がIT人材の不足を実感していると回答し、建設DXを妨げる原因となっていることが分かった。
総合人材サービス会社で、建設業向けの人材派遣や海外エンジニア派遣、人材紹介事業を展開するヒューマンリソシアは、建設業で働くビジネスパーソン345人に、人材不足の実態や海外人材活用についてアンケート調査を実施し、その結果を分析した第二弾のレポートを公表している。
自社で「DXが進展している」は14.2%
建設業で働く人に、自社のDXへの取り組み状況を聞いたところ、DXに積極的に取り組んでおり、「進展している」と認識しているとの回答は、14.2%にとどまった。積極的に推進しているものの「一部のみしか進んでいない」との回答が27.2%、「進展していない」と感じているとの回答は20.6%で、DXが進んでいない状況が判明した。
また、建設業では計62%が「DXに取り組んでいる」と回答したが、他産業では同73.6%となっている。そのため、他産業と比較してDXへの取り組み状況は1割程度低く、建設業でのDX推進は遅れをとっている実態が浮かび上がった。
72.1%がIT人材不足を実感、半数超が今後も続くと予測
建設各社にIT人材についての不足状況を聞いたところ、「非常に不足している」が15.9%、「不足している」が30.1%、「どちらかといえば不足している」が26.1%で、計72.1%が「不足」と回答した。
さらに、3年後、5年後の見通しについて問うと、IT人材不足が3年後に拡大しているとの回答は計56.5%、5年後でも計55.1%。特に「IT人材不足は一層拡大する」との予測は、3年後の19.7%から5年後には25.8%と増え、将来のIT人材確保への強い危機感が表れている。
DX進展企業の8割超が、海外ITエンジニアの必要性を認識
海外人材の採用動向では、IT人材不足によるDXへの停滞感などを背景に、建設各社が海外ITエンジニア活用を推進している姿勢が明らかになった。「積極採用している」との回答は20.9%と2割を超え、積極採用はしていないが「採用している」との回答は42.8%で、計63.7%が海外ITエンジニアの採用に取り組んでいる結果となった。また、「採用を検討している」を含む計82.4%が海外ITエンジニア採用に前向きで、建設各社の期待値の高さが表れている。
海外ITエンジニアの必要性を尋ねDX進展度合いに応じて比較したところ、DXが進展している企業では計83.7%が「必要」と答え、DXが進展しているほど、海外ITエンジニアの必要性を強く認識していることが分かった。
調査結果を受けてヒューマンリソシアは、「DX推進の重要性が高まっているものの、建設業では進展度合いが遅れている実態、その要因としてIT人材不足が背景にある。DXが進展している企業では、海外ITエンジニアを積極的に活用している」と分析する。
<調査概要>
調査元:ヒューマンリソシア
調査時期:2025年3月27〜31日
調査対象:建設業に勤めており、人材採用において決定権を有する人
サンプル数:345サンプル
調査手法:インターネット調査
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