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「建設業で2024年問題は3割が未対応、2025年の崖を6割が認識せず」タカミヤが実態調査調査レポート(1/2 ページ)

タカミヤは、建設/仮設業界が直面する「2024年問題」と「2025年の崖」について実態を調査した。「2024年問題」について、従事者の半数以上(51.3%)が認識不足と回答。老朽化したITシステムや人材不足、デジタル化の遅れが発生する「2025年の崖」は、6割以上が認識しておらず、約半数が「対策を講じていない」ことが分かった。

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 仮設機材などの開発、製造、販売や仮設の設計・施工などを展開するタカミヤは2025年3月6日、建設仮設業界に従事する20代〜60代の500人を対象に、業界が直面する深刻な課題の「2024年問題」と「2025年の崖」に関する実態調査を実施した。

 2024年問題は、時間外労働の上限規制が2024年4月から建設業界に適用され、労働環境の見直しや効率化が求められる課題。2025年の崖は、ITシステムの老朽化や人材不足、デジタル化の遅れが企業のDX推進を妨げ、年間最大12兆円の経済損失をもたらす可能性があると指摘されている問題を指す。

 今回の調査では、こうした課題に対する建設従事者の認識や実際に講じられている対策の現状を明らかにした。

<調査結果サマリー>

■建設業界の「2024年問題」について、従事者の半数以上(51.3%)が認識不足。多忙な現場での浸透が進んでおらず、3割以上(32.4%)が対策を講じていないと回答。

■「2025年の崖」について、建設業界に従事する回答者の6割以上が認識しておらず、約半数が「対策を講じていない」と回答。老朽化したITシステムや人材不足、デジタル化の遅れに対する対応が大きく遅れている。

建設業界の「2024年問題」は半数以上が十分に認識していない

 建設業界の2024年問題について認識を尋ねたところ、半数以上(51.3%)が「あまり認識していない」「全く認識していない」と回答した。

 2024年問題は、働き方改革関連法に基づき、建設業界の労働環境の見直しを求める重要な課題。これまで多くのメディアが報道し、注目されてきたが、現場では日々の業務の多忙さからか、この問題の認識が不十分であることが判明した。

【Q1】「建設業界の2024年問題」についてどの程度認識していますか?
【Q1】「建設業界の2024年問題」についてどの程度認識していますか? 提供:タカミヤ

 建設業界の2024年問題に対して、勤務先の対策状況を調査したところ、対策をしていると回答した人は67.6%。対策を講じていないと回答した人は3割以上の32.4%となった。法改正による労働環境の見直しが求められる中、一部の現場で対応が遅れているのが実態とみられる。

【Q2】あなたの会社では、2024年問題に対してどのような対策を講じていますか?
【Q2】あなたの会社では、2024年問題に対してどのような対策を講じていますか? 提供:タカミヤ

 一方、講じられている施策の中で最も多かったのは、「人手不足の解消(採用活動の強化や外国人労働者の受け入れ)」で36.3%。次いで、「時間外労働の上限規制の順守(シフト調整や労務管理システムの導入)」が27.4%、「業務の効率化(作業手順の見直しや無駄の排除)」が22.7%と続く。

 このまま対策が遅れると労働環境の改善が進まず、人手不足が深刻化する可能性があり、DX推進など業界全体での早急な対応が求められている。

経営層の「対策済み」は幻想か? 現場との乖離が改革の足かせに

 また、経営者層と実務者の間で対策への認識に、大きな乖離があることも分かった。経営者層は、「安全管理の徹底」(31.8%)、「賃金や待遇の改善」(31.8%)、「労働環境の見直し」(22.7%)、「省力化/省人化」(27.3%)を推進していると回答。しかし、実務者でこうした施策が実感できていると答えた割合は、いずれも経営者層の半数以下。

 対策を講じているつもりの経営層と、現場で働く実務者の実感のギャップが、労働環境改革の停滞を招いている可能性がある。改革を真に進めるためには、実務者のリアルな声を反映した対策と、確実に機能する仕組みの構築が不可欠となる。

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