野原HDがBIMの実態調査、ゼネコンの77%がBIM利用「部門間の情報共有の効率化に不可欠」:BIM
野原ホールディングスは、独自に建設DXの実態調査をゼネコンを対象に実施した。調査結果では、DX推進部門と各部門の連携がうまくいっているゼネコンほど、営業/施工/購買調達/積算/設計と各部門のDX化が進んでいる。
建設業界をアップデートするを掲げ、設計BIM〜生産〜施工支援プラットフォーム「BuildApp(ビルドアップ)」を展開する野原ホールディングスは、総合建設会社に勤務する267人に「建設DXの部門別実態調査」のテーマで、独自にアンケート調査を実施し、結果を2022年8月末に公表した。
今回の調査結果からは、DX推進部門と各部門の連携がうまくいっているゼネコンほど、営業/施工/購買調達/積算/設計の各部門でDX化が進んでいると判明した。
ゼネコンの40%がDX推進部門との連携は「良好」
調査結果によると、ゼネコン各社に「自社のDX推進部門(BIM推進部門、デジタル推進部門)との連携状況はどれにあてはまるか?」とヒアリングした結果、40%が「うまくいっている」と回答。
「どちらとも言えない」と答えたゼネコンも34%と多かったものの、「うまくいっていない」「存在しない」と返答したゼネコンは26%と少数だったことから、ゼネコン各社のDX推進はおおむね順調に進んでいることがうかがえる。
DX推進部門との連携が「良好な」ゼネコンの77%がBIMを活用
「あなたが担当する業務案件ではBIMを十分に活用していると言えますか?」という設問に対し、自社のDX推進部門と連携が「うまくいっている」と答えたゼネコンの77%が「活用できている」と回答。
自社のDX推進部門との連携が、「うまくいっていない」「存在しない」と答えたゼネコンでは、担当業務で積極的にBIMを活用する割合はわずか17%にすぎなかった。自社のDX推進部門との連携に成功しているゼネコンとそうでないゼネコンの間では、業務におけるBIMの利用割合に、60%もの差があった。
この結果から、建設DXの推進や部門間の情報共有の効率化に、BIMは不可欠なツールであるとの裏付けにもなった。
関連告知:ITmedia Virtual EXPO 2022 秋 「Building x IT EXPO」
9月30日迄 24h 開幕中!
注目講演:
BUILT好評連載中!伊藤久晴氏が語る「2022年版日本列島BIM改革論」
BUILTで「日本列島BIM改革論」を好評連載中のBIMプロセスイノベーション代表 伊藤久晴氏が登壇!これまでの連載を踏まえつつ、日本の建設業界がBIMを導入するにあたって直面している危機構造と、その先の成長過程に見据える建設DXやデジタル・ウェルビーイングという未来について解説します。
※アイティメディアが運営するヴァーチャルイベント「ITmedia Virtual EXPO」とは、インターネットに接続されたPCやタブレット端末などのスマートデバイスから、24時間いつでもどこからでも、無料で来場できる春と秋の年2回開催している“仮想”展示会。会場では、基調講演、各EXPOで用意された特別セッション、出展社によるセミナー動画の視聴や各種資料・カタログのダウンロードなどが行えまず。会期は2022年9月30日まで。
<< 本EXPOの配信は終了いたしました >>
連携が良好なゼネコンのうちDXが進んでいる部門は「設計」が83%でトップ
自社のDX推進部門との連携状況が「うまくいっている」と回答したゼネコンでは、設計部門の83%が「DXは進んでいる」とした。このことより、設計部門でBIMを積極的に利用していることが予測できる。その他の部門でも、60%以上と高い割合でDXが進んでいるため、部門に限らず業務でBIMを積極的に利用していることが推測される。
「自社のDX推進部門との連携状況」が「うまくいっていない」「存在しない」と回答したゼネコンでは、施工部門におけるデジタル化の遅れが目立ち「DXが進んでいる」と回答した人はわずか8%にとどまった。
自社のDX推進部門との連携が良好なゼネコンは、そうでないゼネコンと比べて施工部門でもBIM活用をはじめとするDX化に積極的と考えられる。
建設DXに期待する効果は「コスト管理」、課題は「デジタル人材の不足」
また、「建設DXに期待するのはどのような効果ですか?」という設問では、「コスト管理」に期待を寄せる人が36%と最多。結果を踏まえると、業務のデジタル化に期待することは、複雑な工事原価管理の効率化だと分かる。
「あなたの所属する部門での建設DXの課題はどれに当てはまりますか?」の問いに対しては、41%が「DX推進できる人材がいない」と回答。次に多かった課題が「現場での利用レベルに達しない」で31%だった。この設問では、業務や役職別で回答に大きな違いはなく、いずれの業務でも、ゼネコンではデジタル化に対応できる人材が不足している現状が判明した。
野原ホールディングスでは今回の独自調査を受け、「ゼネコンでは業務のデジタル化やBIMの利用に積極的であるものの、それに対応できるデジタル人材が不足していることが浮き彫りとなった」とコメントしている。
<調査概要>
調査時期:2022年5月27〜30日
調査対象:ゼネラルリサーチ登録モニターのうち、全国のゼネコン勤務者を対象に実施
調査手法:ゼネラルリサーチのモニターを利用したWebアンケート方式で実施
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- スマホ360度撮影向けのモーター駆動式自動回転雲台、建設/不動産業界用途
野原ホールディングスは、スマートフォンによる360度撮影に向けたモーター駆動式の自動回転雲台「Matterport Axis」の販売を開始した。価格は1万5180円。同社は、建設業界や不動産業界での用途を見込んでいる。 - 建築分野におけるBIM導入のメリット検証などに取り組む提案を7件採択
国土交通省は、2022年度BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業の先導事業者型・パートナー事業者型それぞれについて、学識経験者などによる評価を踏まえた審査の結果、7件の採択提案を決定した。 - 東急建設と野原HDがBIMモデルからの建材プレカット施工で、作業時間の半減と廃材CO2を削減
東急建設と野原ホールディングスは、施工BIMデータからの建材の精密プレカット施工で、生産性向上と環境負荷の軽減効果を検証した。 - 注目の“メタバース”で住宅業界は進化するか?アバター内見など、スウェーデンハウスらが示す未来像
コロナ禍では、あらゆる業種で、オンライン関連サービスの普及が進んでいる。「リアルからバーチャルへ」という社会状況の変化に、住宅業界はどこを目指して進めばよいのか。スウェーデンハウス、野原ホールディングス、homieの3社が、Web戦略のいまと、メタバースの利用も視野に入れた未来像を語った。 - 野原HD、BIMを用いた開業希望医向けのクリニック開業パッケージ
野原ホールディングスは、開業希望医向けにBIMを用いたクリニック開業パッケージ「コネクトクリニック」を発表した。医療機器や什器(じゅうき)、家具を含めた諸室空間の配置や医療スタッフ、患者の各動線を3Dで可視化する。 - AIが構造物の損傷を判定して“説明文を自動生成”、点検を支援するAI先端研究【土木×AI第14回】
連載第14回は、損傷程度の評価と分類の両方をこなす「マルチタスク学習」や構造物の損傷に説明文を自動で追加する「画像キャプション生成」など、インフラ点検を支援するAIの最新研究を紹介します。