YKK AP滑川製造所で高断熱窓用「Low-Eガラス」生産棟稼働 製造能力1.5倍に:建材市場
YKK APは、35億円を投じ、富山県滑川市の滑川製造所で新設を計画していた高断熱窓用「Low-Eガラス」専用の生産棟が2025年11月に稼働した。既存の埼玉窓工場と北海道工場とを合わせ、全国の生産能力は従来比1.5倍となる。
YKK APは、富山県滑川市にある国内の主要製造拠点「滑川製造所」で高断熱窓用「Low-Eガラス」を生産する新棟(N3B棟)を建設し、2025年11月27日に操業を開始した。Low-Eガラスの年間生産能力は300万平方メートルで、全国での生産能力は従来比約150%となる見込み。
Low-Eガラス生産能力を約150%に拡大し、窓の高断熱化を推進
Low-EガラスはLow-Emissivity(低放射)ガラスの意味で、ガラス表面に熱の伝わりを抑える特殊な金属膜をコーティングしている。一般的な板ガラスと比べ、断熱性や遮熱性に優れ、住宅やビルの快適さ、人々の健康面、そして省エネルギー性に効果を発揮する。
YKK APでは断熱フレームとLow-Eガラスを使用した複層ガラスやトリプルガラスの組み合わせによる窓の高断熱化を進めており、複層ガラス/トリプルガラスの出荷数量のうち、Low-Eガラス比率は90%を超えている。近年では新築時をはじめ、住宅やビルのリフォーム/改装時に、開口部を高断熱化する需要も高まっている。
そのため、Low-Eガラスの需要増加に対応する専用建屋を滑川製造所内に新設し、Low-Eガラス製造ラインを導入した。新棟で生産したLow-Eガラスは隣接する建屋で複層ガラス、トリプルガラスに加工し、各組み立てラインに運び、高性能窓「APW」シリーズなどの住宅用窓やビル用窓として敷地内で一貫生産する。
今回の操業開始で、富山県富山市の富山婦中工場でのLow-Eガラスの製造は終了し、滑川製造所に加え、埼玉県久喜市の埼玉窓工場、北海道石狩市の北海道工場の3拠点で生産となる。
滑川製造所 N3B棟の建物規模は、鉄骨造(一部2階建て)延べ床面積4818平方メートル。投資額は35億円(建屋/設備含み)で、設計・施工は鹿島建設が担当し、工期は2023年12月〜2025年6月。
滑川製造所は、超高層/高層ビル向けカーテンウォールや窓、ドアなど国内ビル製造の中枢を担っている。他にもインテリア商品などの住宅用商品、エクステリア建材、複層ガラスなど、多様な商品を生産。供給でも北信越地区を対象としたエリア拠点、日本全国を対象とした全国拠点としての位置付けを兼ね備えた機能を有する。所在地は富山県滑川市杉本3003で、敷地面積は66万7317平方メートル。そう延べ床面積は21万2017平方メール。
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