大和ハウス、モジュール型データセンター「Module DPDC」開発:製品動向
大和ハウス工業は、創業以来培ってきた工業化建築技術を応用して開発したモジュール型データセンター商品「Module DPDC」を2026年1月に発売する。
大和ハウス工業は2025年12月8日、モジュール型データセンター「Module DPDC(モジュール ディープロジェクト データセンター)」を発売すると発表した。従来の建屋型データセンターは土地選定から建設完了、大容量電力の引き込みなどに5年以上を要するケースもあるが、新商品は契約から引き渡しまでを約1年に短縮する。販売開始は2026年1月5日で、販売エリアは沖縄県を除く全国。
Module DPDCは、大和ハウス工業が創業以来培ってきた工業化建築技術を応用して開発した。グループ内の大和リース工場で一部部材の製作を内製化し、現場での組み立てによって短工期を実現。また、特別高圧電力ではなく既存の高圧電力受電のインフラを活用するため、電力の確保が容易だ。大和ハウス工業は全国に事業所を展開しており、地方でも土地選定から施工までワンストップで対応できる。国内外のデータセンター事業者に加え、企業や大学など研究開発用途での需要を見込んでいる。
Module DPDCは、S造、耐震構造(重要度係数1.5)で、1モジュールの延べ床面積は約200平方メートル、高さは約6.6メートル、電力容量は約1〜2MW 。最小構成では約1000平方メートルの敷地から建設が可能だ。構造躯体は日本データセンター協会(JDCC)の「データセンターファシリティスタンダード」の最高ランク「Tier4」に準拠。UPS(無停電電源装置)などのバックアップ設備や厳重なセキュリティ管理レベルを備え、災害時にも継続運用を可能とする。
サーバラック、電気設備、冷却用の空調設備などを含んだオールインワンパッケージとして提供し、用途に応じてサーバラックや空調設備をモジュール単位で段階的に追加できる。
今後、大和ハウス工業は「データセンターの工業化」を推進し、モジュール型DCの展開をはじめとして、国内で急増するDC需要にスピーディーかつ柔軟に対応していく。
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