建設業界の残土コスト問題を解決 「土量コスト計算機」無料公開、東海エアサービス:積算
東海エアサービスは、建設業の残土運搬や処理コストの見積りを算出する計算ツールを無料公開している。体積を入力するだけで、ダンプ台数や運搬費、処理費といった残土コストを30秒ほどで算出する。
東海エアサービスは、建設業の残土運搬や処理コストの見積りを誰でも簡単に試算できる無料ツール「土量コスト計算機」をWebサイトで公開している。体積を入力するだけで、ダンプ台数や運搬費、処理費を即時に算出し、現場の原価管理の効率化と透明性向上を支援する。
建設業界の課題「人手不足、コスト高、環境負荷」に対応
建設業界では、残土処理費の高騰と人手不足が深刻化しており、国土交通省の調査でも年々コスト上昇が報告されている。
残土の運搬や処分費用がプロジェクト全体の採算に大きな影響を与える。しかし、見積段階での計算は属人的かつアナログな方法に依存しており、「余分なコストが発生してしまう」「発注者と施工者の間でトラブルに発展する」などの課題が少なくない。
東海エアサービスはドローン測量やICT施工支援を通じ、こうした現場の声を多数受けてきたという。その解決の第一歩として、誰でも無料で利用できる「土量コスト計算機」を公開するに至った。
土量コスト計算機は、PCやタブレット、スマートフォンに対応し、体積や土質条件を選ぶだけで30秒ほどで試算する。通常/売却/産廃処理のコストが一目で分かり、算出結果はCSVやExcel形式で出力できる。地山/ほぐし/締固めの基準を切替可能で、ダンプ容量×積載効率を考慮した現実的な台数を計算する。
現場担当者や積算部門が精度の高い概算を迅速に把握できるように製品設計しており、原価管理の効率化や意思決定スピードの向上、残土コスト問題の透明化が実現する。
土量コスト計算機は、東海エアサービスが「全省庁統一資格(役務の提供など/全国有効)」を有しているため、公共工事を含む幅広い現場で活用できる。今後はドローン測量と連携させた精緻な実測サービスやAIを活用した残土コスト予測などの機能拡張を予定する。
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