清水建設と東亜建設工業の要望で、SONAS傾斜計が「KOLC+」のデジタルツインとAPI連携:デジタルツイン
東大発ベンチャーのソナスが開発した「無線式 傾斜監視システム」がコルクのBIM/CIMモデルをクラウド上で統合できる「KOLC+」とAPI連携した。電源や配線が不要な傾斜計で取得する斜面や山留、ベントの変位量が、BIM/CIMモデル上でリアルタイムに可視化される。
ソナス、コルクの2社は、ソナスが提供する「無線式 傾斜監視システム」で取得した計測データをコルクのBIM/CIMクラウド「KOLC+」にAPI連携し、デジタルツイン上に傾斜量と傾斜方向を3Dグラフとしてダッシュボード表示可能になったと発表した。
傾斜計の変位量をBIM/CIM上でリアルタイムに可視化
ソナスは、東京大学で無線センサーネットワークの研究に従事していたメンバーにより設立されたベンチャー企業。独自の技術であるUNISONetは、革新的な転送方式「同時送信フラッディング」の採用で、従来のIoT無線では不可能だった要求を同時に実現する画期的な無線通信規格。「安定」「省電力」「高速」「双方向低遅延」「ロスレス」「時刻同期」「多数収容」の特長があり、振動計測による構造物モニタリングや建設現場の安全管理などに活用されている。
一方のKOLC+は、BIM/CIMモデルや点群をクラウド上で統合/共有/活用できる「BIM/CIMクラウド」。国土交通省などの情報共有システム(ASP)としても利用可能で、国土交通省の「建築BIM加速化事業」の補助対象ソフトウェアにも認定されている。
両社は、清水建設のNOVARE ベンチャービジネスユニット担当者の仲介で、API連携の協議を2025年6月から開始した。コルクのKOLC+は2025年4月から清水建設の土木部門で全国展開しており、API連携のニーズが高まっていた。さらに、東亜建設工業の担当者からもAPI連携の強いリクエストが寄せられていた。こうした要望を受け、ソナスがSONASクラウドのAPIを速やかに実装したことで連携が実現した。
SONAS傾斜計は、ソナス独自の無線技術「UNISONet」により、ベントや山留などの仮設構造物の傾斜/変位を電源や配線不要かつ低コストで点計測が可能になる。計測データは、SONASクラウドに蓄積され、グラフ表示やアラートメール通知などができる。
今回、SONASクラウドに実装したAPIを用いることで、蓄積された計測データをKOLC+で構築したデジタルツイン(BIM/CIMや点群など)に、リアルタイムで転送して可視化が実現する。
KOLC+では「3Dグラフ」機能で、SONASクラウドから取得した傾斜量をX/Y軸の3次元グラフとして描画。センサー機器の設置位置や方向、傾斜量の閾値に応じた色分けなどのカスタマイズ設定は、KOLC+のクラウド画面上で可能なため、現場構成に合わせて柔軟に可視化できる。
BIM/CIM、点群データ、複数のセンサー情報を1つの空間に統合し、俯瞰して確認することで、現場全体の傾向や異常箇所を直感的に把握可能になる。
清水建設 NOVARE ベンチャービジネスユニットの担当者は、「ソナスの独自無線技術のUNISONetは、清水建設で多数の導入実績があり、イノベーション拠点のNOVAREには実機も展示している。KOLC+とは2024年度のロボット犬、GNSS、クラウドカメラの連携の取り組みから、関わっている。デジタルツインと計測データの連携は有意義だと考えており、今回、コルクにソナスを強く紹介した。両社の高い技術力によって、早期にデータ連携が実現したことをうれしく思う。今後、土木部門だけでなく建築部門でも導入を検討していく」と話す。
直近では、清水建設の土木部の「第一三共野洲土壌対策・堤防部作業所」に現場導入予定で、建築工事でも採用が検討されている。
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