東大らがリサイクルコンクリを開発、材料はコンクリがれき・廃木材・水:産業動向(1/2 ページ)
東京大学らは、セメント製造で発生するCo2の低減やコンクリートがれきの有効利用を目的に、コンクリートがれきや廃木材、水だけで、リサイクルコンクリートを製造できる新技術を開発した。
東京大学は2020年2月6日、同大学 生産技術研究所 講師 酒井雄也氏やバイオアパタイト 代表取締役社長 中村弘一氏、大野建設 代表取締役社長 大野治雄氏らが、コンクリートがれきと廃木材を粉砕して混合し、ホットプレス(加熱しつつ圧縮成形)することで、土木・建築材料として使えるリサイクルコンクリートを作成することに成功したと発表した。
製造条件次第で一般的なコンクリートの10倍に達する曲げ強度
コンクリートと木材が融合した新リサイクルコンクリートは、既存のコンクリートよりも数倍高い曲げ強度を有しており、コンクリートがれきの再生過程で必要な材料は、コンクリートがれきや廃木材、水で、新たなセメントは必要なく、副産物も発生しない。製造条件によっては、一般的なコンクリートの10倍に達する曲げ強度を有す硬化体を製造することも達成している。
内部では、木材が含有する成分の1つであるリグニンがコンクリートがれきを接着している。リグニンは多くの植物が含んでおり、廃木材の代わりに、野菜や落ち葉、製紙工程で発生するリグニンなどでも、同様にコンクリートがれきを接着可能なことが明らかになっている。
リグニンは難分解性だが、特定の木材腐朽菌(ふきゅうきん)によって生分解されることが知られており、リサイクルコンクリートに利用することで処分が容易になり、環境負荷が低下すると期待されている。
今回の開発技術により、コンクリートがれきをリサイクルする手段の拡大や高付加価値化、さまざまな植物性資源の活用が見込め、循環型社会の実現へつながると想定されている。さらに、生産の際に大量のCo2を発生するセメントを使用しないため、温室効果ガスの排出抑制効果も望める。
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