建設業の4週8休取得割合、技術者/技能者とも約3割に 国交省調査:調査レポート
国土交通省の調査によると、2024年度の4週8休取得率は技術者で28.6%、技能者で29.4%と改善傾向がみられた。一方、両者とも最も多い回答は4週6休程度だった。
国土交通省は2025年10月14日、主に民間工事を対象に工期設定などの実態を調べた「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査(2024年度)」の結果を公表した。4週8休の割合は、技術者で前年度から7.4ポイント増の28.6%、技能者は同3.6ポイント増の29.4%と改善傾向がみられた。一方、両者とも最も多い回答は4週6休程度で技術者が39.6%、技能者で38.7%だった。
現場閉所率について、4週8閉所を提案した/された企業は前年度から8.5ポイント増の42.3%。ただし達成率は6.6ポイント増加したものの27.2%にとどまった。
月平均残業時間が45時間未満だった割合は、技術者で前年度比1.4ポイント増の86.6%、技能者で2.1ポイント減の88.9%となった。
施工現場で「ICTを活用していない」と回答した建設企業は約74%にのぼり、特に、民間工事の割合が多い企業や下請企業にでその傾向が強かった。ICT活用の課題の主な課題として「ICT活用のための人材が不足」が43.7%、「費用対効果が不明」が41.6%だった。
民間工事の工期設定について、「受注者の要望が受け入れられることが多い/少なくない」とする回答は約6割に達した。工期の適切さに関して「妥当」または「余裕がある」と評価した企業は7割近くを占めた一方で、一次下請を主とする企業では「短い」「著しく短い」と回答した割合が高く、請負階層による評価の差がみられた。
実際に工期の変更があった民間工事は全体の46.6%で、「関連工事との調整」「悪天候/自然災害」「人員の確保難」などが主な理由として挙げられた。
価格変動に対応する契約変更条項を設けている案件は、建設企業で前年度比10.2ポイント増の60.2%、民間発注者では同10.9ポイント増の66.1%と、いずれも1割前後増加した。
価格変動を受けて契約変更の協議を行った建設企業は全体の約40%で、そのうち、全て変更に至ったのは約20%にとどまった。発注者のうち、実際に受注者と契約変更に関する協議を行ったとする割合は75.5%で、全ての申し出に応じたとした企業は27.0%だった。
また、発注者の60.8%が「長い工期の発注が増えた」と回答。休日や法定外労働、週休二日確保といった要素を工期設定時に考慮している割合は8割を超えた。適正工期確保に向けた課題について、発注者の7割超が「施工に関する理解不足」と回答している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
調査レポート:建設業の倒産、2025年度上半期に12年ぶり1000件超 職別/総合工事業で10%超増加
帝国データバンクの調査によると、2025年度上半期の建設業の倒産件数は前年同期比10.0%増の1013件となり、2013年度以来12年ぶりに1000件を上回った。建設業の人材動向レポート(60):「建設業の労働時間、10年で年132時間減」働きやすさを6つの指標で独自調査
本連載では、総合人材サービス会社で建設業向けの人材サービスを展開するヒューマンリソシアが、独自に調査した建設業における人材動向を定期レポートとしてお届けする。建設業従事者の人材動向に関する実態を解明し、建設業各社の採用・定着に向けた戦略を考えるうえで少しでもお役に立てれば幸いである。今回は建設業の「働きやすさ」について、6つの指標で分析する。調査レポート:建設業の価格転嫁率41.0% 全体は39.4%に低下、調査開始以来最低に
帝国データバンクによれば、コスト上昇分を販売価格にどの程度反映できているかを示す価格転嫁率が、2025年7月末時点で39.4%となり、調査開始以来最低を記録した。建設関連では建設業の41.0%や建材卸売の53.2%などが全体平均を上回った。調査レポート:直轄国道で陥没の可能性高い空洞119カ所、全て修繕に着手 国交省道路メンテナンス年報
国土交通省は2024年度版の「道路メンテナンス年報」を公表した。直轄国道を対象に実施した路面下空洞調査の結果、陥没の可能性が高いとされた119カ所はすべて修繕に着手し、118カ所で完了した。調査レポート:建設関連業の登録状況、測量業は21年連続で減少 コンサル/地質調査は横ばい傾向続く
国土交通省は2024年度末時点の建設関連業の登録業者数を公表した。測量業は1万1140業者で21年連続減少。建設コンサルタントは3930業者、地質調査業は1221業者で、横ばい傾向が続いている。調査レポート:建設大手58社の7割が増収、売上高は前年度比6.9%増 2024年度業績動向
帝国データバンクの調査によると、主要上場建設会社58社の2024年度売上高合計は21兆3547億円となり、前年度比6.9%増加した。約7割に当たる41社が増収となった。