土木/採石現場向け自動運転ダンプを2027年度までに実用化へ、コマツ/EARTHBRAIN/ティアフォーが協業:i-Construction 2.0
コマツ、EARTHBRAIN、ティアフォーは、建設機械分野の自動運転技術の実用化に向けて協業を開始。コマツのアーティキュレートダンプトラックとリジッドダンプトラックを自動化を推進し、2027年度までに自動運転システムの実用化を目指す。
コマツと子会社のEARTHBRAINは2025年9月18日、ティアフォーと、建設機械分野の自動運転技術の実用化に向けて協業を開始したと発表した。今後、国内の土木/採石現場で使用するコマツのアーティキュレートダンプトラックとリジッドダンプトラックを自動化を推進し、2027年度までに自動運転システムの実用化を目指す。
ティアフォーのオンロード車両での自動運転技術の実績に着目
ティアフォーは、自動運転モビリティの提供やティアフォーの自動運転用オープンソースソフトウェア「Autoware(オートウェア)」の開発などを手掛ける。コマツとEARTHBRAINはこれまでも建設現場の無人化施工の実現を目指し、建設機械の自動化や遠隔操作化の技術開発に取り組んでおり、今回、ティアフォーのオンロード車両の自動運転技術の実績に着目し、協業に至った。
協業では、ティアフォーの自動運転技術に、コマツの建設機械の車両技術、EARTHBRAINのデジタル技術を活用した建設現場の施工管理のノウハウを組み合わせ、建設機械向けの自動運転システムと管制システムを開発する。ティアフォーはコマツと自動運転システムを開発し、現場オペレーションとの連携や実装を担う。EARTHBRAINは管制システムの開発を担当する。
3社は今後、ダンプトラックの自動運転化により省人化を促し、建設現場の労働力不足の解消を目指す。また、管制システムと自動運転車両の連携を通じて、状況に応じた最適なルート選定や走行を実現し、運搬作業効率の向上を図る。燃料消費も最適化されることから環境負荷低減にも寄与。無人稼働のため安全性が向上し、労働環境の改善も期待される。
自動運転化は、まずアーティキュレートダンプトラック「HM400」(最大積載質量40トン)とリジッドダンプトラック「HD785」(最大積載質量93.9トン)から開始し、その後は他機種への展開も視野に技術開発を進める。また、土木/採石現場以外の製鉄/プラントなどの現場への導入や将来は海外現場への市場展開も目指す考えだ。
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