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建機に後付けで3Dマシンガイダンス実現、日立建機のキットが13tクラスに対応第7回 国際 建設・測量展

ここ最近の建機は、IoTセンサーやカメラ、通信機能が当たり前のように搭載されている。取得したデータを設計データと比較しながら、高精度な工事を行うマシンガイダンス(MG)やマシンコントロール(MC)のテクノロジーは、人材不足や環境保護といった課題に対するICTとして注目されている。しかし、MGやMCに対応した新車の建機はかなり高額となってしまう。そこで日立建機は、未対応の既存建機に後付けして、マシンガイダンスを可能にするキットを開発した。

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 日立建機は、「第7回 国際 建設・測量展(CSPI-EXPO2025)」(会期:2025年6月18〜21日、幕張メッセ)で、日立建機製の油圧ショベルに後付けできるマシンガイダンス(MG)キットを展示した。対応機種の拡充で13トンクラスのショベルでも使えるようになり、トータルステーション(TS)対応で、電波が届かない場所でも施工が可能になった。

日立建機のブース全景
日立建機のブース全景 写真は全て筆者撮影

対応ショベルが拡充、13トンクラスのショベルでも利用可能に

 日立建機は、今展で遠隔操作や現場プロセス最適化、ゼロエミッションといった分野で提案した。既存の建機に後付けしてマシンガイダンスを可能にする「Solution Linkage MG(以下、MG)」は、その中でもひと際、来場者の関心を集めた。

 Solution Linkage MGは、日立建機が安全性や生産性の向上、ライフサイクルコストの低減といった建設業の顧客が抱える課題解決を目指して提供するソリューション群となる。「Solution Linkageシリーズ」の筆頭に位置する技術だ。シリーズには、転圧管理の「Solution Linkage Compactor」やダンプ運行管理の「Solution Linkage Mobile」、点群生成の「Solution Linkage Point Cloud」、土量管理の「Solution Linkage Ryube」などをラインアップ。

 このうちSolution Linkage MGは、日立建機の油圧ショベルに特化した後付けキットだ。キットを20トンクラスの中型油圧ショベル「ZX200-7」に取り付けると、3Dマシンガイダンスが利用できるようになる。Ryubeと連携すれば、日々の工事で土量確認も可能になる。

 Solution Linkage MGのキットは、ショベル本体やブームなどに取り付けるIMUセンサー(慣性計測装置)とベースユニット、ガイダンスモニターなどで構成。今回は、対応モデルが増え、13トンクラスのショベルにも対応することを紹介した。日立建機では、今後もラインアップを拡充し、より多くのモデルでSolution Linkage MGが利用できるようになるとのことだ。

後付け3Dマシンガイダンスキット「Solution Linkage MG」
後付け3Dマシンガイダンスキット「Solution Linkage MG」
導入することでICT施工が可能になり、施工時に取得するデータも有効活用できる
導入することでICT施工が可能になり、施工時に取得するデータも有効活用できる

TS対応で、場所を選ばない施工が可能に

 Solution Linkage MGのブースでは、トータルステーションが使えるようになったことも紹介した。従来の3Dマシンガイダンスでは、ショベルの正確な位置を算出するために、GNSSに加えて、複数の電子基準点を使って自機の位置を得るネットワークRTK-GNSSのサービスを利用していた。そのため、基本的にはショベルの稼働はGNSS信号が受信できて、携帯電話の電波が入るエリアに限られていた。

 新しいSolution Linkage MGは、トータルステーションを用いた正確な自機位置の測位も可能だ。電波環境に左右されず、上空が開けていない場所でもマシンコントロールによる施工が実現する。また、トータルステーションの利用により、ネットワーク型RTK-GNSSによる測位精度は±5センチ以下だったが、±1センチ以下もの高い精度となる。

ショベルの屋根にはトータルステーションで使うプリズムを設置

 Solution Linkage MGのマシンガイダンスでは、専用Webアプリも新開発した。3次元設計データや平面図はCAD形式での読み込め、別途ソフトウェアを必要としない。施工履歴は自動でサーバに蓄積し、必要な日時のデータをダウンロードできる。

トータルステーションとの連携で、より幅広い現場での運用が可能に
トータルステーションとの連携で、より幅広い現場での運用が可能に

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