黒部ダム電気バス自動運転実証でトンネル内走行支援技術を提供、大成建設:産業動向
大成建設は、黒部ダム駅〜扇沢駅間で実施する電気バスの自動運転レベル2実証で、トンネル内走行支援技術を提供した。
大成建設は2025年9月12日、電気バスによる「黒部ダム」駅〜「扇沢」駅間の自動運転レベル2走行実証において、トンネル内の走行支援技術を提供すると発表した。
実証は、関西電力、ティアフォー、アイサンテクノロジー、大成建設、大成ロテックの5社が共同で実施。2019年から運行中の電気バスの更新を迎えるにあたり、新たな選択肢の1つとして自動運転技術の導入を検討する目的で行う。
実証期間は2025年9月16〜19日の営業時間外(夜間)。対象車両は自動運転レベル2に対応し、ハンドルやアクセル、ブレーキ操作を一部自動化しつつドライバーが常時監視する形態だ。実証では自動走行システムの性能確認と課題の抽出を行い、将来は自動運転レベル4相当(特定条件下での完全自動運転)の電気バスによる実証にも取り組む計画だ。
走行区間は富山県立山町の黒部ダム駅から長野県大町市の扇沢駅を結ぶ全長6.1キロのルート。大成建設と大成ロテックは、トンネル内における自動運転支援として、自己位置推定の精度向上を目的とした反射体の設計/設置を担当した。
トンネル内は壁面形状特徴が少なく、LiDARを用いた自己位置推定に誤差が生じやすい。そこでトンネル壁面に一定間隔で、LiDARが認識可能な反射体を設置。また、塗装膜によって防汚性と反射性を確保した。
この他、ティアフォーは自動運転実証車両「Minibus」と自動運転ソフトウェア「Autoware」を提供。アイサンテクノロジーは、車両が周囲の状況を正確に把握し、自律的に判断するための基盤となる高精度3Dマップを製作する。
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