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“除雪するルンバ”のような空を飛ばない陸上ドローン、Japan Drone 2025で最優秀賞Japan Drone 2025(1/2 ページ)

雪国に住む人にとって、毎日の雪かきは身体的な負担になっている。エバーブルーテクノロジーズは、そうした重労働の除雪を人の代わりに行う自社開発の陸上ドローン(UGV)を提案する。2025年1月の発売以降、北海道や東北、北陸の歩道や駐車場で活躍しており、「Japan Drone 2025」の表彰では、従来の“空飛ぶドローン”とは異なる視点と実用性を持つユニークな製品と評価され、ハードウェア部門の最優秀賞を受賞した。

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 エバーブルーテクノロジーズは、「Japan Drone 2025/第4回次世代エアモビリティEXPO 2025」(会期:2025年6月4〜6日、幕張メッセ)で、空を飛ばない陸上無人機の除雪ドローン「SRD-F11RC」を披露した。執行役員/PR担当の武田由紀氏は、除雪ドローンを「“除雪するルンバ”みたいなイメージで開発した」と話す。

ブース全景。ドローンに関連して、非接触の充電システムも参考出展した
ブース全景。ドローンに関連して、非接触の充電システムも参考出展した 写真は全て筆者撮影

高い走破性を誇る4WD+安全なブレード式を採用

 エバーブルーテクノロジーズは、北海道を拠点に製品を開発する企業だ。今回展示した除雪ドローンは、大型の除雪車が入らない場所にフィットするサイズ感に仕上げられている。これまで除雪に苦慮してきた雪国在住者の負荷を減らす、新たなツールと期待されている。

 2025年1月の発売以降は、道内だけでなく、花巻や金沢、福井など雪質を問わず、企業や施設の駐車場などの私有地で活躍。また、砂利を集める小型無人建機(マイクロ建機)としても活用されているという。

 除雪車や雪上走行車と聞くと、路面との設置面積が大きいキャタピラ式、螺旋状の部品を回転させて雪を移動させるスクロール式をイメージしがちだ。

 しかし、エバーブルーテクノロジーズでは、移動にキャタピラではなく4モーター4輪駆動の4WD、総合1000ワットのモーターパワーとした。駆動を4WDとすることで、除雪ドローンは走行する路面状況を限定せずに安定して移動できる。

4WD+ブレード式を採用するエバーブルーテクノロジーズの除雪ドローン。各車輪は独立したモーターで駆動する
4WD+ブレード式を採用するエバーブルーテクノロジーズの除雪ドローン。各車輪は独立したモーターで駆動する

 雪上の移動はブルドーザーのような雪を押し出すブレードを使う。キャタピラ式は車体の重さが増し、柔らかい雪の上では沈み込んでしまい雪を圧雪する。舗装路では摩擦が強過ぎてスピードが出せず、バッテリーの消耗にも影響する。

 ブレードで雪を押し出す方式にしたのは、スクロール式が湿った雪に弱いためだ。湿った雪をスクロール式で処理しようとすると、雪が頻繁に詰まってしまう。その度に人が雪を取り除かなければならないが、危険を伴う。機構も複雑で、メンテナンスも簡単ではなかった。そのため、積雪してからではなく、降った時点ですぐに雪を取り除くことで、積もらない状態をキープするのが基本の使い方だ。また、シンプル機構のブレード式は、除雪作業後のメンテナンスも手間がかからないのもメリットとなる。

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