“歩くだけ”で空間を丸ごとデジタル化 構造計画研究所が高性能3Dレーザースキャナーを出展:第7回 国際 建設・測量展(2/2 ページ)
構造計画研究所は、現場を手軽に3Dデータ化する新しい機器として、歩くだけで高精細な点群データを取得できるNavVis製の最新3Dレーザースキャナー「NavVis VLX3」と「NavVis MLX」を提案する。ドイツ発のモバイルマッピング技術は、精度と操作性を両立し、測量のスピードと効率を一気に引き上げる。
ハンディ型でも妥協なし「NavVis MLX」
2024年10月に国内での販売が始まったハンディ型3Dレーザースキャナー「NavVis MLX」は、狭所や高所、複雑な構造物の計測に適している。
VLX3と同等の高性能LiDARを1台搭載し、前方2台のカメラで映像を解析するビジュアルオドメトリ技術を採用。自己位置推定の精度が高く、入り組んだ空間でも正確にマッピングできる。基準点を使った座標変換機能も備え、据え置き型では難しかった現場への対応力が強みだ。
持ち上げる、傾ける、横向きにするなどの姿勢でもデータが歪まない。計測中はハーネス使用により長時間作業でも負担が少なく、リュック型ケースに収納して持ち運べる。工場やプラントの保全業務など、多様な現場の高速3Dスキャン用途で活躍が見込まれる。
“速さ”と“品質”を両立する移動式
「測量現場では、従来は据え置き型の地上型スキャナーが主流だ。据え置き型は、精度は高いものの、作業時間が長くなってしまう。VLX3やMLXは、品質を保ちながら大幅な作業時間の短縮が実現する」とブース担当者は語る。
一般的に、スキャンは速度を上げれば精度が落ち、精度を追求すれば時間がかかる。だが、今回の2機種はそのトレードオフを克服し、現場の効率化に直結する性能を備えている。
研究と実務をつなぎ、普及を後押し
構造計画研究所は、2002年からイベント「KKE Vision」を主催している。大学や研究機関と実業界をつなぎ、分野横断的な知見を共有する場として継続的に開催してきた。他にも多様な分野の研究者を招き、最先端の知見を紹介する講演会などを定期的に開催している。
今後は、こうしたイベント活動を通じて、NavVis製品の特長や可能性をさらに広く発信し、多様な現場への導入を後押ししていく考えだ。「今後も研究と実務をつなぐハブとして、最新技術を分かりやすく伝えていきたい。現場の生産性を高める有効な手段として、NavVis製品の普及を進めていく」(担当者)。
最新の測量機器が、精度と使いやすさを兼ね備えたとき、DXは一気に加速する。構造計画研究所が提供するNavVisのソリューションは、これからの建設DXの一歩を力強く後押ししてくれそうだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ドローン:小型ドローンとレーザースキャナー併用、既存設備をデジタル化 狭小空間の3Dモデリング技術確立
三機工業はグループ会社と共同で、小型ドローンとレーザースキャナーを併用した狭小/閉鎖空間での既存設備の3Dモデリング手法を確立した。メンテナンス・レジリエンスTOKYO2024:道路陥没の特効薬! 地下の見えないリスクを可視化するジオ・サーチの地中“MRI” 3Dマップ
日本中に激震が走った埼玉県八潮市の道路陥没事故。インフラ調査会社のジオ・サーチは、地下インフラの“見えないリスク”に対し、地中のMRI検査ともいうべき「地上/地下インフラ3Dマップ」を提供するなど、人命を守るインフラDXを展開している。第7回 国際 建設・測量展:3D点群処理システムに3つの新機能、細部表現に優れた滑らかな3D空間を再現 福井コンピュータ
福井コンピュータは3D点群処理システム「TREND-POINT」の最新版をCSPI-EXPOで公開した。複数画像をもとに物体や空間を高精細に3D再現する「3D Gaussian Splatting」の採用をはじめとする3つの新機能で、現場業務の精度向上と効率化を図る。導入事例:第一カッター興業が高出力レーザー塗膜除去装置を本格運用 インフラ補修の課題に対応
第一カッター興業は、インフラ補修工事向けにトヨコー製の高出力レーザー塗膜除去装置「CoolLaser G19-6000」を導入し、本格運用を開始する。ロボット:事前の地図作成不要、自律走行ロボットの制御システム開発 NICTとテクノ菱和
情報通信研究機構とテクノ菱和は、事前の座標標定や地図作成が不要な自律走行ロボット(AMR)用システムの開発に成功した。点群:大容量の点群を共有できるクラウド機能「ポイントクラウドビュー」提供、ニコン・トリンブル
ニコン・トリンブルは、クラウドソフトウェア「Trimble Connect web」の拡張機能として、大容量の点群データをクラウド上で保存/管理/共有できるクラウドソリューション「ポイントクラウドビュー」の国内提供を開始した。