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第一カッター興業が高出力レーザー塗膜除去装置を本格運用 インフラ補修の課題に対応:導入事例
第一カッター興業は、インフラ補修工事向けにトヨコー製の高出力レーザー塗膜除去装置「CoolLaser G19-6000」を導入し、本格運用を開始する。
第一カッター興業は2025年6月20日、インフラ補修工事の作業環境改善や施工品質向上を目的に、トヨコー製の高出力レーザー塗膜除去装置「CoolLaser G19-6000」を導入したと発表した。橋梁(きょうりょう)や港湾、エネルギー関連施設などを対象に、環境性/操作性に優れた新たな下地処理技術として本格運用する。
CoolLaser G19-6000は、5.4キロワットのCW(連続波)レーザーを照射し、塗膜や錆を非接触で除去する施工機器。
従来のインフラ補修では、粉じんの飛散や長時間作業による作業者への負担、塩分/汚染物の残留による再塗装後の品質への影響などが課題となっている。
CoolLaser G19-6000は、施工時の反力が少なく作業者の身体的負担が抑えられる他、除去対象以外に副生成物が発生しづらいため粉じんや廃棄物の発生を大幅に抑制する。さらに表面に残留した塩分/油分も併せて除去し、再塗装の密着性と耐久性が向上する。
装置は4トンウイング車に積載可能で可搬性が高く、屋外の温湿度変化や振動にも耐える構造設計となっている。レーザーは最大100メートルまで伝送可能で、現場のレイアウトの自由度が高いことも特徴だ。作業部は手持ち可能なハンディサイズの照射ヘッドで、狭所や局所部の処理にも対応する。
第一カッター興業は今後、施工現場での試験施工やデモンストレーションを通じて実用性のあるレーザー施工技術の確立を目指す。
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