大林組のMR品質管理システムが刷新、協力会社向け機能追加:BIM
大林組は、MR技術を利用して施工確認や検査などを行う品質管理システム「holonica」に、協力会社向けの閲覧/利用機能を追加した。仕上げ検査の指摘事項入力から是正完了確認までの一連の業務フローをシステム内で完結できるようになった。
大林組は2025年7月29日、MR(複合現実)技術を利用して施工確認や検査などを行う品質管理システム「holonica(ホロニカ)」をアップデートしたと発表した。協力会社向けの閲覧/利用機能を追加し、仕上げ検査の指摘事項入力から是正完了確認までの一連の業務フローをシステム内で完結できるようになった。
大林組は2021年に、実際の施工場所とBIMデータに基づく3Dモデルを正確に重ね合わせて、工事進捗や検査情報を記録できるholonicaを開発。2024年度までに50件を超える自社建設現場で試行/適用してきた。
holonicaの記録や確認機能により仕上げ検査時の指摘事項入力作業が効率化された一方で、社内利用に限られており、協力会社への是正指示や作業後の確認は紙出力や別のアプリで実施していた。そこで今回、holonicaの社外利用と既存機能の改良を実施。新たにスマホ版Webアプリを追加して指摘事項の入力から是正完了確認までの一連の業務フローをシステム内で完結できる仕組みを構築した。管理用のPC版Webアプリと施工管理者向けのiPadアプリの構成を最適化し、ARマーカーの配置の自由度を向上させるなどの改善も行った。
アップデート後のholonicaを使った検査では、従来と比較して約25%の省力化を実現した。指示内容の整理と発行、指示内容の伝達や完了時の報告などに要する時間が約90%削減できたことが主な要因だという。
holonicaは、アプリ上で検査モードからビューモードへの切り替えが可能。コンクリートの打設前の現場にBIMデータを重ねることで、スリーブ、開口の位置や個数が確認できる。天井インサートの配置や汚染土掘削時の墨出し、起工式などで関係者と完成イメージが共有できるなど、建設現場を幅広く支援する。
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