IHIが「重さ1トンを1000km運ぶ」無人空輸へ 支えるのはガスタービンと離着陸場:Japan Drone 2025(2/2 ページ)
IHIが次世代の空の輸送に欠かせない技術と位置付けるのは、「飛ばす力と着地の場」の両輪だ。Japan Drone 2025で披露した重さ1トンの荷物を1000キロ空輸するガスタービン動力システムと、空と地上をつなぐモビリティーハブとなる離着陸場インフラの実像に迫る。
空と地上をつなぐ空飛ぶクルマの離着陸場構想
もう1つの技術展示は、空飛ぶクルマの社会実装を見据えた離着陸場インフラ構想だ。都市空間を活用し、空と地上をつなぐモビリティーハブを形成するというもので、開発を進めているのはIHIグループ会社でパーキングシステムのリーディングカンパニーとして知られるIHI運搬機械。これまで蓄積された技術やノウハウを生かし、新たな空のモビリティーインフラの構築に挑んでいる。
今展で提案したのは、用途や規模に応じた3タイプのインフラモデル。そのうち「バーティストップ」は、数機の運用を想定した最小構成の離着陸場で、離着陸帯に加え、充電や点検を行う倉庫機能も備える。
「バーティポート」は、10機程度の定期運行を見込んだ中規模施設。商業施設や観光地など人の集まるエリアへの設置を想定し、都市間移動や遊覧、短距離移動といった用途に対応する。2025年の大阪・関西万博でも、会場内の空飛ぶクルマ離着陸場に「EXPO Vertiport」という名称が採用されている。
「バーティハブ」は、空港や港湾、鉄道駅など大型交通ターミナルに隣接し、地方拠点での高頻度運行を想定したインフラだ。都市間と地域間を結ぶ中核施設としての役割が期待される。
また、空飛ぶクルマの搬送技術として、スキッド式向けの車輪ユニットも紹介した。スキッドとは、ドローンや空飛ぶクルマの機体を地面に着地させるための足となる部品。軽量で機動性が高い反面、車輪などが付属しておらず、着陸後の移動には不向きだ。IHI運搬機械では、簡単かつ安全に着脱可能な車輪ユニットの開発と実証テストを重ねている。ブース担当者は、「機体の運用を支える技術を開発し、空飛ぶクルマの社会実装に貢献していきたい」と展望を語った。
空の輸送を変える新たな動力技術と、それを支える交通インフラ。IHIは、その両輪の技術開発で、次世代モビリティーの社会実装に向けた道筋を現実的な構想として示している。
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