マンション大修繕の周期を伸ばすスキーム構築、2.3億円の削減に 三菱地所レジと長谷工:リノベ
三菱地所レジデンスは、長谷工コーポレーションの技術提案を受け、マンションの大規模修繕工事の周期を40年間で3回から2回に減らすスキームを構築した。第1弾として、埼玉県の川越駅近くで2027年に竣工する「ザ・パークハウス 川越フロント」に導入する。
三菱地所レジデンスは2025年6月26日、長谷工コーポレーションの技術提案を受け、マンション大規模修繕工事の周期を40年間で、3回から2回に減らすスキームを構築したと発表した。第1弾として、三菱地所レジデンスが手掛ける分譲マンション「ザ・パークハウス 川越フロント」に導入する。
大規模修繕工事の周期を12年から18年まで延伸
近年の物価上昇による工事費高騰を受け、三菱地所レジデンスでは居住者負担を軽減するため、工事費の大きな割合を占める外壁に足場を掛ける仮設工事を伴う大規模修繕工事の周期を40年間で3回から2回に減らす検討を行ってきた。
その中で、長谷工コーポレーションと管理会社の三菱地所コミュニティとも協議を重ね、新築時や大規模修繕工事時に、外壁に使用する外壁材に耐久性の高い材料を選定すると共に、適切な点検や補修を行うことで、大規模修繕工事の周期を12年から18年まで延伸させるスキームを構築し、長期修繕計画に反映した。
工事周期を伸ばす方法は、高耐久の外装建材を新築時や修繕時に採用し、適切な点検や補修も実施する。これまで12年周期で実施していた足場設置を伴う大規模修繕工事を18年周期に変更できるため、長期的な修繕費の削減にもつながる。
三菱地所レジデンスの試算では、スキームにより40年間での修繕積立金総額を約4〜9%削減。ザ・パークハウス 川越フロントでは、約9%(約2億3000万円)の削減効果を見込む。修繕工事回数が減ることで、CO2e排出量(温室効果ガスの排出量を二酸化炭素に換算して表記する単位)も約225トン削減。杉の木約1万6000本が1年間に吸収する量に相当する。
今回採用する主な外装建材は、15年保証の屋上シート防水、10年保証のウレタン防水、期待耐用年数20年のシーリング材、絶壁外壁材タイルに剥離防止工法、吹き付け材に防水型複層塗材E(ウレタントップ以上)などだ。こうした資材の活用と適切な保守体制で、足場を設ける修繕工事を減らし、長期的なメンテナンスコストと環境負荷を同時に抑える。
ザ・パークハウス 川越フロントは、東武東上線およびJR川越線の川越駅西口から徒歩2分の立地に建設する。2棟構成の総戸数192戸(1LDK〜3LDK)で、専有面積は44.51〜80.62平方メートル。長谷工コーポレーションが施工し、2027年1月の竣工、同年3月の入居を予定している。
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