高出力サビ取りレーザー装置「CoolLaser G19-6000シリーズ」を一般発売、サビ原因の塩分も除去:製品動向
トヨコーは、高出力サビ取りレーザー装置「CoolLaser G19-6000シリーズ」をリリースした。レーザークリーニング分野では世界最高峰を謳う高出力レーザーにより、サビや塗膜を高品質かつハイスピードに除去する。
トヨコーは2023年2月14日、高出力サビ取りレーザー装置「CoolLaser G19-6000シリーズ(以下、G19-6000)」をリリースしたと発表した。
塗り替え工事が異なる装置要らず、1台で完結
近年、インフラの老朽化は先進諸国を中心に世界を悩ませ、米国などでは落橋死亡事故も発生している。特に少子高齢化が進む日本では、インフラの老朽化が年々進む一方、メンテナンス工事の担い手は年々減少するという社会課題を抱えている。
G19-6000は、これまでトヨコーが数多くの工事で培ったノウハウをもとに開発した屋外用レーザー施工機器。4トントラック(ウイング車)に積載する装置本体は、屋外の温湿度環境や運搬時の振動を考慮して設計されており、手持ちのレーザーヘッドは作業者の操作性を考えて作られている。トヨコーがレーザークリーニング分野では世界最高峰とする高出力レーザーにより、サビや塗膜を高品質かつハイスピードに除去する。特許技術である高速円環スキャン方式は、鋼材への熱影響、酸化膜の発生を大幅に抑える。
G19-6000はレーザー処理のため、発生する産廃物は除去対象物に限られる。さらにレーザーヘッド先端部に取り付けた集塵(しゅうじん)ホースから粉塵(ふんじん)を瞬時に吸引するので、従来工法では考えられないクリーンな作業環境が実現する。トヨコーでは、キツい、汚い、危険のいわゆる3Kの現場を、「Cool」「Clean」「Creative」の“3C”に変え、新しい担い手確保に貢献していくことを掲げている。
また、G19-6000はサビの原因となる塩分も乾式で取り除き、防食便覧で推奨されている粗さの数値80μmRzJIS以下の適度な表面粗度が得られる。これまでの塗り替え工事は、湿式の塗膜除去、水洗いの塩分除去、ブラストの素地調整と、各工程に異なる装置を手配する必要があったが、こうした工程がG19-6000であれば1台だけで完結する。速やかに次工程の塗装にも移れるため、再劣化の原因となる塩分の再付着や戻りサビの発生を抑え、塗装工事そのものの頻度低減により、限られた担い手に支えられる持続可能な社会づくりに寄与する。
なお、トヨコ―ではこれまで、研究開発を目的とした自社施工に限定していたが、一般向けに広く利用できる表面仕上がり品質や施工スピード、施工能力が確認できたことからG19-6000を一般発売するに至ったという。
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