AIが画像からコンクリート打継面を評価、大成建設:AI
大成建設はダムなどコンクリート構造物施工において、タブレット端末のカメラで撮影した打継面の画像を基に、AIが処理程度を定量的かつ即時に評価する新技術を開発した。
大成建設は2025年3月31日、AIを活用したコンクリート打継面の評価技術を開発したと発表した。ダムなどのコンクリート構造物施工の際に、タブレット端末のカメラで撮影した打継面の画像からAIが処理程度を定量的かつ即時に判定する。
コンクリートダムは、コンクリートを垂直方向に打ち継ぎながら堤体を構築する。構造の一体化には、先行打設面に生じる「レイタンス」と呼ばれる脆弱な薄層の除去など打設面の適切な処理が不可欠だ。処理が不十分だった場合はひび割れや漏水などの要因にもなるため、打継面の判定は極めて重要とされる。従来は監督員や施工管理者が目視で評価していたが、結果にばらつきが生じる懸念があり、定量的な評価手法が求められていた。
今回開発した技術は、タブレット端末で撮影した打継面画像をAIが解析し、任意の格子(メッシュ)単位で「良(浅め/中間/深め)」または「不良」と分類。判定結果は1秒程度で撮影画像上に重ねて表示する。判定結果と位置情報は端末内に保存され、トレーサビリティーも確保する。
AI画像解析の精度向上のために、事前に約1万件の学習データを深層学習に活用。データには従来用いていたラインレーザーによる光切断法で取得した平均粗さや気象条件などが含まれており、高精度な判定が可能となった。また、評価基準は建設現場の要求水準に合わせてカスタマイズできる。
専用機材不要で幅広い現場に適用可能
新技術は専用の計測機器や解析装置を必要とせず、タブレット端末上のアプリケーションのみで運用でき、ダム工事以外にも適用が見込める。大成建設は今後、ダム建設現場での実証を継続し、データの蓄積やアプリケーションの機能改善を通じて生産プロセスのDXを加速させる。品質管理の高度化と検査時間の短縮を両立させ、建設現場の生産性向上につなげていく。
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