住宅と非住宅の境界を超えた「EV充電器のスタンダード」 パナソニック EW社が強みとする3つの改良点:EV(4/4 ページ)
パナソニック エレクトリックワークス社は、EV車用の充電器「ELSEEV hekia S Mode3」をモデルチェンジし、2025年7月22日に発売する。設計自由度、サービス拡張性、コストパフォーマンスを見直し、住宅に限らずマンションや商業施設も含む「共用型充電設備」のスタンダードとなるべく、2030年までに累計10万台の販売目標を掲げる。
集合住宅や商業施設への展開強化
ELSEEV hekia S Mode3は住宅用途だけでなく、集合住宅や商業施設にも対応するように製品設計している。特に集合住宅では共用部での充電設備の運用が課題となっており、住民間の公平な利用や料金管理が求められる。新モデルは、従量課金に対応した計量機能を搭載し、個々の利用量に応じて公平に課金される。
また、OCPP(Open Charge Point Protocol)に対応しており、複数の充電管理サービスとの連携で、スマートな利用者管理や遠隔監視、ピークシフト制御といった運用も可能になる。
商業施設では、駐車場利用者向けに課金型充電サービスを提供するケースが増えており、施設のサービス向上や差別化にもつながる。こうしたニーズに応えるため、設置の柔軟性やケーブル長の選択肢、課金機能の標準搭載を強化した。
ELSEEV hekia S Mode3は、今後のEVインフラ整備で住宅と施設の境界を超えた「共用型充電設備」としてのスタンダードを目指している。
EV充電設備のスタンダードとして、2030年までに累計10万台販売
新モデルは、従量課金に対応した特定計量制度への適合や、国際プロトコル「OCPP」への対応で、他社の充電サービスとも連携可能となった。集合住宅では月額課金制やピークシフト制御、商業施設では不特定多数への有料提供など、多様なビジネスモデルに対応する柔軟性を備える。
パナソニック EW社では2030年までに累計10万台の販売を目指しており、「EV充電設備のスタンダード」としての位置付けを強く意識している。
田中氏は、「今後のEVインフラ整備で、ELSEEV hekia S Mode3は設備設計で選ばれるプロダクトになり得る。住宅と施設の境界を超えた共用型EV充電設備としてスタンダードを目指したい」と語り、設計自由度、サービス拡張性、コストパフォーマンスの強みで、今後の非住宅領域での普及に期待を寄せた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
製品動向:ベビーカーを押したまま横向きで出入りできるマンション用エレベーター、パナソニックEVが4月発売
パナソニック エレベーターは2025年4月1日から、小規模のマンション用エレベーター「リベルタージュロングUi」の受注を開始する。ルーム内の奥行きが1390ミリに伸び、保護者とベビーカーが縦列で出入りできる。カーボンニュートラル:低炭素型の高性能セメント複合材料開発、万博会場EVバス走行中給電道路に適用 大林組
大林組と太平洋マテリアルは、低炭素型の高性能セメント複合材料「ユニバーサルクリートGX」を共同開発した。大阪・関西万博において、来場者移動EVバス向け「走行中ワイヤレス給電システム」の道路設備に適用した。ロジスティクス:オリオンビール本社跡地の物流倉庫が完成 戸田建設が開発
戸田建設が、沖縄県浦添市城間のオリオンビールの本社跡地で建設を進めてきたマルチテナント型物流倉庫が完成した。鉄骨造地上4階建て、延べ床面積は4万7450.72平方メートルで、設計はTSUCHIYA、施工はTSUCHIYA・仲本工業・大城組JVが担当した。プロジェクト:開業20年を迎えるTXの始発駅に、大和ハウスが駅直結の複合施設オープン
つくばエクスプレス「つくば」駅周辺で大和ハウス工業が建設してきた3棟の複合施設が完成した。2025年8月に開業20年を迎えるつくばエクスプレスの始発駅として、駅周辺の大和ハウスグループが運営する商業施設やビジネスホテルなどともに、オフィス勤務者で約500人、商業施設の来場者で年間約50万人の賑わい創出を見込む。プロジェクト:三井不動産、パナ工場跡地「門真市松生町商業施設計画」着工
三井不動産は、大阪府門真市松生町のパナソニック工場跡地における、商業施設、分譲マンションなどからなる大規模複合街づくり型開発事業の商業施設街区「(仮称)門真市松生町商業施設計画」の起工式を行った。商業施設は2023年春に開業予定だ。パナソニックが考える「2020以降の街づくり」:受注額77億円、大和川線トンネルにパナ環境エンジニアリングが導入した最新機器
パナソニック環境エンジニアリングのトンネル換気事業は2018年に創設から50周年を迎えた。現在、ジェットファンの納入実績は累計2000台で、電気集じん機の国内シェアは60%となっており、いずれも国内1位だという。同社ではトンネル換気事業の売り上げを2025年度に2018年度と比較して1.6倍を超える50億円以上を目指している。この目標への弾みとして2019年12月26日に、トンネル換気事業で最大規模の受注を請けた工事の説明会を開き、同社の有する最新のトンネルシステムをPRした。