建設現場で燃料由来のCO2排出量データを一元管理、ゼネコン17社や燃料配送事業者17社が参加:カーボンニュートラル
リバスタは、建設現場で用いる燃料由来のCO2排出量データを効率的に管理する実証実験を全国9エリアに拡大した。元請会社17社に加え、燃料配送事業者17社が参加している。
リバスタは2025年5月21日、建設現場で使用される燃料に由来するCO2排出量データを取得して管理するスキームの実証実験を全国規模に拡大したと発表した。
元請会社2社、燃料配送事業者16社が新たに参加し、9エリア(北海道、東北、関東、北陸、東海、関西、中国、四国、九州)で展開する。2025年秋から冬までに正式サービス開始を目指す。
全国各地の燃料配送事業者から燃料購買量データを取得可能に
スキームでは、燃料配送事業者は、元請会社や協力会社が購入した燃料の購買量データをもとに、建設現場ごとのCO2排出量算定用データに変換し、元請会社へ提供する仕組みだ。CO2排出量の効率的な管理や集計作業の負荷軽減につながる。
実証実験は2024年5月に開始し、当初は元請会社15社と宇佐美グループの三和エナジーの連携だったが、現時点で参画する燃料配送事業者は、三和エナジー、オイルターミナル、カメイ、丸一石油、スギセキ、イデックスリテール熊本など全国各地の17社。元請会社は、清水建設、大成建設、竹中工務店、熊谷組、戸田建設など計17社。
これまでに、元請会社が建設現場での燃料使用に由来するCO2排出量データを効率的に把握可能となった他、燃料配送事業者も現場ごとの燃料購買量データ集計、管理にかかる作業を大幅に削減した。
日本建設業連合会は2023年7月、カーボンニュートラル実現に向けたロードマップを策定し、具体的な取り組みとして施工段階のCO2排出量の約8割を占める重機や車両から排出されるCO2を2030年度に2013年度比で40%削減することを掲げた。こうした背景もあり、元請会社は建設現場で使用される燃料稼働の重機などから発生するCO2排出量の管理が急務とされている。
一方、燃料配送事業者は、元請会社から個別に燃料購買量データの共有依頼が増え、元請会社ごとに異なるフォーマットでの集計などによる作業工数増加、管理の煩雑化が課題となっている。
そこでリバスタは、元請会社と燃料配送事業者間で、建設現場での燃料購買量データの収集や受け渡しをスムーズに行い、元請会社が業務負担をかけることなく、建設現場での燃料使用に由来するCO2排出量データを効率的に管理できるスキームを設計した。
今後も運用の最適化に向けた検証を継続し、参画企業の拡大とともに燃料データ管理の標準化、低炭素燃料の流通促進を図る。
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