非住宅木造加速へ「大規模木造建築ネットワーク」を36社と設立 初年度50件、約300億円目指す:木造/木質化(2/2 ページ)
エヌ・シー・エヌは、非住宅木造に特化した「大規模木造建築ネットワーク」を設立する。大規模木造建築に関する課題を解決し、木造化を支援する。全国をカバーする36社とともに2025年7月に始動し、初年度に年間50件、約300億円の受注を目指す。
最適な総合請負会社や専門請負会社を紹介
エヌ・シー・エヌはこれまで、独自の「SE構法」を核に木造建築の構造計算、省エネ設計などを手掛けてきた。SE構法は従来、鉄骨造やRC造で主流だったラーメン構法を木造住宅に取り入れた木造建築システムで、軸組部分に高精度な構造用集成材、接合部には独自開発の高強度なSE金物を使用することで、高い構造強度を実現する。
ネットワークの会員は、SE構法登録施工店かつSE構法での非住宅木造の実績を持ち、施工品質や特定建設業許可、資格者の配置体制など独自の基準クリア。36社で北海道から沖縄までをカバーする施工体制を確保した。
活動開始以降は、クライアントや設計事務所、ゼネコンからなどの大規模木造工事に関する問い合わせに対して、最適な「総合請負パートナー」や「専門請負パートナー」を選定してマッチングする。
SE構法による大規模木造建築の事例
ネットワークに参画した施工業者はこれまで、SE構法により、学校、店舗、福祉施設などさまざまな大規模木造建築の建設を手掛けてきた。
長野県軽井沢町の高校(延べ床面積1期工事:2162平方メートル、2期工事:792平方メートル)では新津組が施工を担当。大分県日田市の無印良品店舗(同2625平方メートル)は施工をMUJI HOUSEが、木工事をFDMが施工した。
広島県庄原市の福祉施設(延べ床面積3329平方メートル)は、ゼネコンの依頼を受けてセブン工業が木工事を担当。また、福井県永平寺町の店舗併設倉庫では湾曲集成材の特殊加工を翠豊が担当するなど、高度な木材加工技術の実績もある。
ネットワークの役割分担は、SE構法による構造設計や省エネ/ZEB認証など環境設計、資材供給をエヌ・シー・エヌが担う。施工はネットワークに参画する建設会社が担当し、品質担保を目的に瑕疵保険加入を必須としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
木造/木質化:英ロンドンに木造6階建てオフィス竣工、住友林業 環境配慮型オフィス需要に対応
住友林業が英ロンドンで開発を進めていた木造6階建ての環境配慮型オフィス「Paradiseプロジェクト」が完成した。英国における環境性能の高いオフィスの供給不足という課題に対応する。木造/木質化:中大規模の非住宅木造3棟を整備、ポラスが木造建築の情報拠点を吉川に開設
ポラスグループは、木造建築の情報発信拠点「ポラステクノシティ」を埼玉県吉川市に開設した。中大規模の非住宅木造3棟と、戸建てモデルハウス4棟で構成。設計にはBIMも活用した。木造/木質化:三井不動産、新木造建築ブランドの名称を「&forest」に決定
三井不動産は、グループの新たな木造建築ブランドの名称を「&forest」に決定し、ブランド第1号物件の木造賃貸オフィスビル「(仮称)日本橋本町一丁目3番計画」の名称を「日本橋本町三井ビルディング &forest」とした。木造/木質化:薄型CLTで現場事務所を建設、ユニット工法により4日で完成 鴻池組
鴻池組は愛知県内の建築現場で、厚さ72ミリの薄型CLTを使用した現場事務所建設に関する実証実験を行った。工場でユニット化して現地に搬入し、建物基礎には山留め用鋼材を使用したことで、現地での作業日数4日で建物を完成させた。木造/木質化:木造/RCの混構造、愛知県立春日井高校の1号棟が完成 住友林業
住友林業が施工に関わった、中央部を木造、両端部をRC造とする平面混構造3階建ての「愛知県立春日井高等学校」1号棟校舎が完成した。木造/木質化:部分木造対応の防火パネルシャッター開発、90分間遮熱で大臣認定 大林組
大林組と三和シヤッター工業は、木造化した建物に対応する防火パネルシャッター「スプリットシータ」を開発した。