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部分木造対応の防火パネルシャッター開発、90分間遮熱で大臣認定 大林組木造/木質化

大林組と三和シヤッター工業は、木造化した建物に対応する防火パネルシャッター「スプリットシータ」を開発した。

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 大林組は2025年4月4日、三和シヤッター工業と共同で、木造化した建物に対応する防火パネルシャッター「スプリットシータ」を開発したと発表した。2025年3月31日付で、90分間の遮熱性能を有する防火設備として初めて(大林組調べ)国土交通大臣認定を取得した。

スプリットシータ閉鎖時の全景(左)、耐火被覆シート発泡状況(右)
スプリットシータ(閉鎖時)の全景(左)、耐火被覆シートの発泡状況(右) 出典:大林組プレスリリース

 建築物の木造/木質化が進む中、火災/延焼対策は大きな課題となっている。建築基準法では中大規模建築物の一部を木造とする場合、区画壁の開口部に遮熱性能を持つ防火設備を設ける必要がある。従来は鉄を基材にケイ酸カルシウム板を重ね張りした重い扉を設置して常時閉鎖するのが一般的で、大開口部の設置が難しいとされていた。こうした課題に対応するため、両社はスプリットシータを開発した。

 スプリットシータは、遮音/遮煙性能を備えたパネルシャッターに発泡性の耐火被覆シートを組み合わせ、シャッターに熱が加わると耐火シートが発泡(膨張)して断熱層を形成。耐火壁と同様の遮熱性能を発揮する。90分間の加熱試験では、通常の防火シャッターが非加熱面で炉内同等の700℃以上に達するのに対し、スプリットシータは200℃以下にとどまり、認定基準を満たした。

90分間の加熱試験での非加熱面の温度比較。通常の防火シャッター(左)は炉内同等の700℃以上に達したが、スプリットシータ(右)は認定基準を満たす200℃以下
90分間の加熱試験での非加熱面の温度比較。通常の防火シャッター(左)は炉内同等の700℃以上に達したが、スプリットシータ(右)は認定基準を満たす200℃以下にとどまった 出典:大林組プレスリリース

 スプリットシータは火災発生時に自動的に閉鎖するため、平時には解放できる。常時閉鎖型の防火扉と比較して、大きな開口部を確保することで連続性のある開放的な空間設計が可能になる。

一般的な防火扉(左)とスプリットシータ導入時(右)
一般的な防火扉(左)とスプリットシータ導入時(右) 出典:大林組プレスリリース

 2024年4月に施行された建築基準法の改正により、大規模建築物の一部に木造部分を設ける「部分木造」や、延焼を遮断する壁等を設けることで低層木造部分を「別棟」として扱うことが可能となった。スプリットシータは、これらの区画の開口部に要求される性能を満たす90分間の遮熱性能を備える防火設備として、今回の大臣認定(認定番号EH090-0001、EH090-0002)を取得した。

 大林組は今後、スプリットシータを活用した利便性と安全性を両立する空間づくりを提案し、建築物の木造/木質化を推進することで脱炭素社会の実現に貢献していく。

2024年4月法改正の内容
2024年4月法改正の内容 出典:国土交通省法改正説明資料

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