調査リポート
「建設費高騰で発注者の6割が危機感、BIM活用は重要だがEIRは浸透していない」野原グループが独自調査:調査レポート(3/3 ページ)
BuildApp総合研究所は、建設費高騰が続く中、建築主(工事発注会社)に対し、現在の危機感、BIM要件(EIR)提示の実態などを調査した。その結果、約6割が建設工事を取り巻く現状に危機感を抱き、建設プロジェクトの品質を落とさず、計画通りに実行するには、BIM活用で設計・施工の生産性向上が必要との回答が最多の3割超えとなった。
会社種類別にEIR提示実態の結果をみると、不動産デベロッパーは、「工事発注時にBIM要件を提示したことがある」「EIRの提示に前向き」が他の会社に比べて高く、EIRの提示をけん引。流通、電力会社、大学で不動産、設備投資、建築関連業務(発注業務)の従事者は、「EIRを初めて聞いた(36.7%)」が建築主全体よりも5.5ポイント高く、「EIRの提示はしない(35.0%)」に至っては約2倍もの数値になっている。
EIRを提示しない理由
「EIRの提示はしない」とした82人に理由を聞くと、1位「BIM活用のメリットが感じられない(74.4%)」、2位「自社にBIMに詳しい人材がおらず、自社でEIRを整理できない(20.7%)」、3位「EIR提示の必要性を感じない(BIMがなくても建物は完成する)(4.9%)」の結果だった。
<調査概要>
調査元:BuildApp総合研究所
調査時期:2025年3月21日〜31日
調査対象:建設工事の発注会社に勤務する全国の20〜70代
サンプル数:420人
調査手法:インターネット調査(ゼネラルリサーチ)
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