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鉄骨梁を軽量化、建設コストを低減する新工法「梁ウェブ薄肉化工法」開発 日本製鉄製品動向

日本製鉄は、鉄骨梁のウェブを薄肉化することで鋼材使用量と建設コストの低減を図る新工法「梁ウェブ薄肉化工法」を開発した。

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 日本製鉄は2025年5月12日、鉄骨梁(ばり)のウェブ(腹板)を薄肉化することで鋼材使用量と建設コストの低減を図る新工法「梁ウェブ薄肉化工法」を開発し、ベターリビングの一般評定を取得したと発表した。

 新工法では、鉄骨梁のウェブの局部座屈について、上下フランジによる拘束効果を考慮した精緻な座屈設計技術を導入。従来の設計方法と比較して、梁本来の変形性能を最大限評価できるようになった。

従来の設計方法(左)と「梁ウェブ薄肉化工法」(右)
従来の設計方法(左)と「梁ウェブ薄肉化工法」(右)出典:日本製鉄プレスリリース

 日本製鉄は、建設やインフラ構造物に対して高性能鋼材と高度な利用技術を組み合わせた建設ソリューションブランド「ProStruct」の建築分野向け新パッケージとして、H形断面梁のウェブを薄肉化する新工法を確立した。

 従来、H形断面梁を耐震部材として使用するには、地震時の変形性能確保のためにウェブの板厚を厚くする必要があった。新工法の設計条件を満たすことで、従来設計ではウェブの板厚が薄いことで変形性能が低いと見なされてきたFCやFDランクの梁に対しても、変形性能が高いとされるFAやFBランクの梁として扱えるようになる。

 日本製鉄はこれまでも、スチフナ補剛によって梁端部の座屈を防止する「梁端ウェブ補剛工法」を展開してきた。新たに実用化した梁ウェブ薄肉化工法では、スチフナを使用せずに部材ランクの向上が可能となるため、鋼材の削減に加え、製作工程の簡略化による効率化も期待できるという。新工法の適用が困難な梁には、従来の梁端ウェブ補剛工法を適用することで、建物全体の梁設計を経済的に最適化する提案が可能となる。

 今後は、超高層ビルや物流倉庫、工場、データセンターといった大型プロジェクトを対象に、梁ウェブ薄肉化工法を含む「ProStruct」パッケージを展開し、構造物全体の設計・施工の合理化を提案していく方針を示した。

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