合成床版橋「パネルブリッジ」が日本のタンザニアODAで海外初採用:導入事例
日鉄エンジニアリングは、日本政府によるタンザニア連合共和国への無償資金協力事業(ODA)でゲレザニ橋のパネルブリッジを製作、三井住友建設による現地架設が完工した。
日鉄エンジニアリングは日本製鉄の協力の下、日本政府によるタンザニア連合共和国への無償資金協力事業(ODA)「ダルエスサラーム市交通機能向上計画」のうち、ゲレザニ橋の「パネルブリッジ」を製作、三井住友建設による現地架設が完工した。海外向けにパネルブリッジが採用されたのは、今回が初めてだという。
同橋は、タンザニアの中心都市、ダルエスサラーム市の幹線道路の慢性的な渋滞を解消するため、ゲレザニ道路を整備する事業の一環として建設された橋梁だ。鉄道を跨ぐ架設となるため、パネルブリッジの急速施工・低桁高の特長に加え、再塗装のメンテナンスが不要でJIS規格品である日本製鉄の耐候性鋼材を使用する点などが、タンザニア政府に評価された。
パネルブリッジは、合成床版と主桁を一体化した主桁パネルと、中間床版パネルによって構成される新しいタイプのユニット式合成床版橋梁で、工場であらかじめ主桁および合成床版の鋼殻を一体化し、現場施工を簡略化・短工期化する。また、吊り足場、床版型枠の設置・撤去など現場での桁下作業が発生しないため、特に橋梁が道路や鉄道を跨ぐ場合に最小限の交通規制での架設でき、交通渋滞など周囲の負担も軽減する。
同橋は、橋長40メートル、幅員30.4メートル、片側2車線・両側歩道・中央バス専用レーンで、橋台、基礎、アクセス道路の建設工事と、上部工に重量約450トンのパネルブリッジを採用した。事業予算は約11億円となっている。両社は、今後も協働し、主にアジアとアフリカ地域の道路・橋梁整備事業に、パネルブリッジを積極展開していくという。
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