賃貸管理の報告書作成を自動化で97%時短、ハタスがRPAとAIで新プロセス構築:不動産テック
ハタスは、AIとRPAを用いて賃貸管理業務の定期報告書作成を自動化した。これまで約35時間かかっていた作業を約1時間で完了した。
建設や不動産、賃貸管理、仲介事業を展開するハハタスは2025年5月7日、AIとRPA(ロボティックプロセスオートメーション)を活用し、賃貸管理業務のコールセンターでの定期報告書作成を自動化したと発表した。これまで約35時間かかっていた作業を約1時間に短縮し、働き方改革の一環で作業時間の短縮に大幅な成果を出した。
AIとRPAを活用した報告書作成のプロセスを構築
ハタスはて24時間365日体制で、社員が本社に常駐し、入居者からの電話問い合わせに対応するコールセンター業務を担っていた。しかし、人材不足材による各々の負担増、全社員が持ち回りで宿直室での深夜待機など、本業以外での業務負担が大きくきなっていた。
代表の交代や新組織での改革の一環で、働き方改革を進め、社員の負荷軽減と労働環境の改善を図り、約1年前にコールセンター業務を専門の外部企業へアウトソーシングした。しかし、外注先から上がってくる対応結果のフィードバックを確認し、自社の管理システムへ手動で再入力するといった今までにはない業務が発生。
さらに2021年に施行された「賃貸住宅管理業法」で、登録賃貸住宅管理業者は物件オーナーに対し管理状況を定期的(少なくとも年1回)に報告することが義務付けられた。賃貸管理業務におけるオーナーへの定期報告書の作成が不可欠となり、現場には新たな業務負担が生じた。
そこで今回、コールセンター対応データをCSV形式で一括ダウンロードし、RPAが取得して集計した後、AIがその情報を基に報告書の文案を自動生成する仕組みを構築した。報告内容を標準化することで、属人的な作業に依存しないため、記載漏れや誤記載のリスクを低減。RPAが定型処理、AIが文章作成といった役割分担することで、それぞれの技術の強みを引き出し、相乗効果による効率化を達成。最終的な報告書は、担当者が確認して修正した後、物件オーナーに発送する。
新プロセスの導入で、従来は約35時間を要していた定期報告書作成作業が約1時間で完了。作業時間を約97%削減したことになり、業務効率は飛躍的に向上した。担当者の残業削減や空いた時間を他の重要業務に充てることが可能となる。
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