建設混合廃棄物の「ふるい下残さ」をソイルモルタルに活用:サーキュラーエコノミー
大成建設と光洲産業は、建設混合廃棄物の中間処理過程で発生する「ふるい下残さ」をソイルモルタルの母材として利用する技術を確立した。
大成建設は2025年2月20日、廃棄物処理業の光洲産業と共同で、建設混合廃棄物の中間処理過程で発生するふるい下残さをソイルモルタルの母材として有効利用する技術を確立したと発表した。新技術は、神奈川県横浜市戸塚区の大成建設技術センターに建設した木造人道橋の橋台周辺空隙部の充てんに初適用した。
解体工事では、がれき類や木材、プラスチック、ゴムなどの有機物が混在した建設混合廃棄物が発生する。建設混合廃棄物の処理過程では、ふるい処理によって土砂を主体とした処理土(ふるい下残さ)が生じるが、微細な異物などが混入しているため再生利用が難しく、大部分が最終処分されているのが実情だ。全国の最終処分場は残余容量が年々減少傾向にあり、ふるい下残さの最終処分量削減が課題となっている。
両社は、建設発生土を再利用してソイルモルタルを製造する大成建設の「TAST工法」を応用し、ふるい下残さの有効利用技術の確立に取り組んできた。TAST工法は、砂質土を主体とする建設発生土にセメントと水を混合させソイルモルタルを製造する。今回、室内試験と試験施工によって、砂質土の代替材料としてふるい下残さからなる再生土砂を活用し、ソイルモルタルを製造できることを確認した。新技術では、ふるい下残さをセメントと混合して固化することで、有害物質の溶出を抑制しながら、所定の強度を確保した。
今回の木造人道橋建設工事では、建設混合廃棄物の中間処理で発生した約8トンのふるい下残さをソイルモルタルの母材として再生利用した。実際の施工では、橋台周辺の小規模な空隙部を充てんする際、運搬に使用したアジテータ車ごとにソイルモルタルを採取して強度を計測した。その結果、試料の7日強度は小規模充てんで目標とされる100キロパスカルを上回り、有害物質の溶出量は土壌環境基準に定められた基準値を満たすことを確認した。両社は今後、新技術の本格的な適用を推進する。
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