羽田をつなぐANA×三井不の「青宙橋」竣工 デザインは梓設計、設計・施工は五洋建設:プロジェクト
ANAホールディングスと三井不動産が計画していた東京モノレール「整備場」駅前の橋が開通した。名称は近隣の小学校、関連事業者などからアイデアを募り、「青宙橋(あおぞらばし)」に決定。橋のデザインは梓設計、設計・施工は五洋建設が担当した。
ANAホールディングスと三井不動産は2025年3月29日、東京都大田区羽田旭町地区と東京モノレール「整備場」駅をつなぐ海老取川人道橋「青宙橋(あおぞらばし)」の竣工に伴う開通式を執り行った。
青宙橋の橋長は約86メートル、幅員は約4メートル。橋のデザインは梓設計、設計・施工は五洋建設が担当し、工期は2023年7月18日〜2025年3月29日。
親水空間を創出するデザイン、カラーはANAと三井不のコーポレートカラーから着想
計画地では、2017年からANAホールディングスと三井不動産が大田区と連携し、羽田エリアの産業活性化に寄与する街づくり型開発プロジェクト「HANEDAインダストリアルパーク」を推進してきた。これまでにANAホールディングスのトレーニングセンター「ANA Blue Base」、三井不動産の物流機能を含む複合用途施設「三井不動産インダストリアルパーク羽田(MFIP羽田)」を開発。青宙橋の開通により、8年にわたる計画は総仕上げを迎えたことになる。
橋の名称は、近隣の小学校、関連事業者などからアイデアを募り、当該地域の発展と親しみやすい橋として在り続けてほしいという願いが込められた「青宙橋」に決定した。
梓設計が手掛けたデザインは、大田区の掲げる「空港臨海部グランドビジョン2040」の基本方針の1つ「人の活動と自然の調和」を実現すべく、人々が行き交いにぎわう親水空間を創り出す橋とした。
タイルは、ANAホールディングスと三井不動産のコーポレートカラーから着想を受けた青色と白色を組み合わせ、波打ち際のゆらぎを表現し、歩行者が水辺を身近に感じられるデザイン。橋の両脇には木仕上げの支柱と網目状のフェンスを用い、海に並ぶ木杭と漁師網を表現した。支柱の笠木内部には温かみのある照明を設け、連続した行燈の光が親しまれる運河沿いの夜景を創り出している。橋から見渡すことのできる現在の運河の風景の中に、橋で表現したかつて漁師町だった羽田エリアの海辺の風景が重なり、まちとまち、そして過去から現在、さらに未来へとつなぐ橋となるようにとの想いを込めている。
従来、HANEDAインダストリアルパークが所在する羽田旭町地区から、海老取川を挟んで対岸にある整備場駅に徒歩で向かうには、駅の南側に位置する「穴守橋」を渡る必要があった。そのため、地域住民からのアクセス向上を求める要望を受け、地域貢献の一環として青宙橋を整備した。青宙橋が整備場駅に接続したことで、羽田旭町地区から駅への新たな経路が生まれた。
ANA Blue BaseとMFIP羽田は、大田区と「災害時における施設等の提供に関する協定」を締結。災害などの緊急時には、地域住民の一時退避場所となり、施設で管理している防災備蓄品の一部を提供する。青宙橋開通で新たな避難経路が確保されたため、これまで以上に早期避難実現が可能となる。
橋の右岸側には、東京都により災害時における舟運を想定した「防災船着場」の整備も予定されており、災害時でも水上輸送が有効に機能する環境が整備されることで、水辺エリアとしてのさらなる価値向上が見込まれる。
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