レインボーブリッジで夜間の災害を想定したドローン点検を実証、首都高速道路など6社:ドローン
首都高速道路など6社は、レインボーブリッジで夜間の災害を想定したドローン点検の実証実験を行った。
首都高速道路、首都高技術、JDRONE、エアロセンス、KDDIスマートドローン、NTTコミュニケーションズは2025年3月17日、首都高速道路の長大橋「レインボーブリッジ」で、首都高初となる夜間の災害を想定したドローン点検の実証実験を行ったと発表した。
首都高速道路は、大規模災害発生時の迅速な点検による早期道路啓開を目指し、これまでもドローンを活用した点検手法を検討してきた。2025年2月14日に実施した今回の実証実験では、夜間飛行時の映像視認性確認に加え、自動離着陸/充電可能なドローンポートを複数使用した往復約2.8キロの長距離飛行を行った。
レインボーブリッジ豊洲側と芝浦側に離着陸拠点を設置し、JDRONEは操縦権の受け渡しが可能なドローン「MaTrice350RTK」を、エアロセンスは長距離飛行を得意とするVTOL(垂直離着陸型固定翼)型ドローン「AS-VT01K」を投入した。KDDIスマートドローンは、自動離着陸が可能なドローンポート「DJI Dack2」を各拠点に設置し、ポート間の自律飛行を実施。「SkydioX 10」による高架下の点検も同時に実施し、複数の機体の映像を一元管理できることを実証した。
NTTコミュニケーションズは「Skydio X10」で昼夜の高速道路上空と高架下を飛行。機体の制御には「LTE上空」(NTTドコモのドローン専用プラン)と無線通信、映像伝送にはLTEと低軌道衛星(Starlink Business)を併用した。
通信環境による一部通信の途絶があったものの、各社ともフライトプランに沿った自律飛行と、夜間でも状況把握可能な映像の収集が可能だと確認できた。
実証では暗所飛行時の機体選定や、複数のドローンポートを使用する場合の点検手法の確立に向けた知見を得た。一方で、実用化に向けては、災害時の即時点検候補エリアの電波環境調査や、使用電波選定などの課題も確認された。首都高速道路では実証結果を踏まえ、今後も多様な点検手法の確立と体制構築に取り組むとした。
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