新幹線車両製造時の副産物を「環境配慮コンクリ」に活用 JR東海 ／大成建設など：カーボンニュートラル

大成建設、JR東海、相模原市は、ごみ処理過程で生じる溶融スラグや、金属製品製造時に発生する水酸化アルミニウムを活用した環境配慮コンクリートを共同開発した。

[BUILT]

　大成建設は2025年3月22日、JR東海、相模原市と共同で、ごみ処理や金属製品製造の際に排出される副産物を活用した環境配慮コンクリートを開発し、道路用建材の試作品開発に成功したと発表した。

新たな環境配慮コンクリートの素材と試作品　出典：大成建設プレスリリース

　共同開発した環境配慮コンクリートは、天然砂の代替としてごみ処理過程で生じる溶融スラグを、刺激材として新幹線車両やアルミニウム製品製造時の副産物である水酸化アルミニウムを利用する。従来のコンクリート同等の強度と作業性を確保しながらCO2排出量を約80％削減し、資源循環の拡大にもつながる。

開発した環境配慮コンクリートの特徴と効果出典：大成建設プレスリリース

将来はまちづくりなどでの活用も

　大成建設は、産業副産物の高炉スラグやフライアッシュなどを混合した環境配慮コンクリート「T-eConcrete」の開発と社会実装を推進している。今回の開発ではT-eConcreteシリーズのうち、セメントを使用しない「セメント／ゼロ型」の技術を応用した。

　相模原市は現在、市内で発生したごみの処理過程で生成する溶融スラグを公共工事に活用し、資源循環の促進や最終処分場の延命化を図っている。また、市内にはJR東海 中央新幹線「神奈川県（仮称）」駅の設置が予定されており、JR東海は駅周辺でイノベーション創出促進拠点「FUN＋TECH LABO（Fラボ）」を運営している。大成建設はFラボのオフィス利用企業の1社だ。こうしたつながりを契機に、新たな環境配慮コンクリートの共同開発がスタートした。

　今後は製品化に向けて耐久性などを検証するとともに、将来のまちづくりでの活用方法を検討していく。