手持ちスマホで“暗黙知”の新人教育ができるクアンドの遠隔コミュニケーションツール:第9回 JAPAN BUILD TOKYO(2/2 ページ)
工事現場では施工箇所の確認や修正指示が頻繁に行われる。クアンドの建設業をメインターゲットにしたビデオ通話ツール「SynQ Remote」は、ITにアレルギーがある職人やアプリ操作に煩わしさを感じるベテラン作業員でも、直感的にスマホやタブレットから伝達や新人への指示出しなどができる。
会話への参加はQRコードから、インストールも不要
SynQ Remoteは、伝達が必要な人がアプリをインストールしなくてもすぐに参加できるのが利点だ。利用方法は前もって設定したアカウントにログインと、URLのリンクやスマホのカメラでQRコードを読み取り、ゲストとして参加する2パターン。
QRコードを使った方法は、SynQ Remoteを日常的に利用しない人が通話に参加する際に便利となる。QRコードは、SynQ Remoteでの通話を想定する工事現場や機器の周囲などに、あらかじめ貼っておく。QRコードを使って誰かがSynQ Remoteにアクセスすると、SynQ Remoteのアプリをインストールしている管理者などに着信通知が届く。「応答」を選ぶと、映像を使った通話が始まる。

ゲストとの通話では、画面左上に参加している人の名前を表示。画面下には通話時に使えるアイコンが並ぶ。右から2番目のカメラのアイコンをタップすると、表示画面を写真として残せる。一番右は録画ボタンで画面の動きに加え、音声やポインタの動きを記録する
ベテラン人材の退職や若い働き手の不足など、建設業界では働く人の構成が大きく変化している。連動するように如何にして現場のノウハウの継承や情報共有するかが課題となっている。映像を共有しながらポインタなどを使って、的確な指示や確認ができるSynQ Remoteには課題解決の可能性がある。
誰もが持っているスマホを使って現場の作業効率を上げられるSynQ Remoteは、住宅業界や土木業界で企業の大小を問わず現場導入が進んでいる。展示ブースでは、電気工事、設備工事、メンテナンス工事などでSynQ Remoteが利用されている現場適用例を資料として配布していた。
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