3Dプリンタで初島駅のRC造新駅舎を終電から始発までに建設、JR西日本とセレンディクス:3Dプリンティング
JR西日本は、3DプリンタでJR紀勢本線「初島」駅の駅舎を鉄筋コンクリート造の平屋建てに建て替える。基礎部分を含めた外形のパーツを3Dプリンタで出力して現地で組み立て、終電から始発までの約6時間で完成させる。
西日本旅客鉄道(JR西日本)、JR西日本イノベーションズ、セレンディクスの3社は、老朽化した和歌山県有田市のJR紀勢本線「初島(はつしまえき)」駅の駅舎建替えで、建設用3Dプリンタで基礎部分をふくめた外形を造形した。JR西日本によると、3Dプリンティング技術を用いた駅舎建設は世界初の事例になるという。
現地組み立てで終電から始発までの約6時間で完成
新駅舎は、鉄筋コンクリート造の平屋建て10平方メートル弱の約6.3(幅)×約2.6(高さ)×2.1(奥行き)メートルの建物規模となる見通し。意匠設計はヌーブ一級建築士事務所と太田浩史一級建築士、JR西日本 大阪一級建築士事務所、構造設計はKAP一級建築士事務所、JR西日本 大阪一級建築士事務所が担当する。施工は3Dプリンティングとともにセレンディクスが担う。
計画では建物の基礎部分を含めた外形は、最新の3Dプリンタ技術を用いて出力する。出力したパーツに必要な処理を行った上(鉄筋/コンクリート充てん)で、現地でクレーンにより、パーツを組み上げ接合して完成させる。
当日の施工時間(組上げ〜躯体完成)は終電から始発までの約6時間を想定。3Dプリンティングにより、現場での作業が大幅に効率化され、在来工法(鉄骨造や鉄筋コンクリート造)と比較して工期の短縮効果が期待される。工期は現段階では未定だが、2025年度内には建設する。
鉄筋コンクリート製のため、耐久性や耐食性に優れ、プレキャスト工法と比べると型枠を使用しないため、造形の自由度が高くデザイン面でも工夫を凝らせる。外装の壁面には、当該地域ならではの有田市名産「みかん」「たちうお」をイメージした装飾を施す予定だ。
JR西日本では、今回のデジタルファブリケーション活用を顕在化する労働力不足を補い、鉄道施設の計画的な更新を促進する手法と位置付けている。そのため、建設や維持管理にかかるコストを詳細に検証し、新駅舎を基本モデルとして他駅への展開も見据えている。
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