3Dプリンティングで積層ブロックを作製、組み合わせて建設部材構築 前田建設工業:3Dプリンティング
前田建設工業は、3Dプリンティング技術を活用して現場での運搬や組み立てが容易な積層ブロックを作製し、ブロックの組み合わせにより自由な形状かつ任意のサイズで建設部材を構築する技術「WAV3D」を開発した。
前田建設工業は2024年10月16日、3Dプリンティング技術を活用して現場での運搬や組み立てが容易な積層ブロックを作製し、ブロックの組み合わせにより自由な形状かつ任意のサイズで建設部材を構築する技術「WAV3D(ウエーブスリーディー)」を開発したと発表した。
前田建設工業は新技術を自社研究拠点「ICI総合センター」内の施設に適用。作成した部材は、自社イメージカラーの青と緑のグラデーションを有する色調とした。3Dプリンティングによる建設部材への着色事例は少なく、想定した発色を実現するための色調評価にも取り組む。今後は屋外での供用を通じて、耐久性や色調の変化などの実証データを蓄積し、活用領域の拡大を目指す。
WAV3Dは、複雑な自由形状が造形できる3Dプリンティングの特長を生かした積層ブロックを組み合わせて連環部で接続することで、形状やサイズのフレキシブル性や、配置の自由度を高めた。現場に適用しやすい構造とデザイン性の両立、手軽な運搬と組み立てを実現し、さまざまな建設部材を構築できる。
積層ブロックは波形状とシアキーにより、設置時の安定性と外力に対する抵抗性を高めている。波や地層を模したデザインは自然と調和し、壁として使用した場合は、視線を遮りながら採光や換気も可能。利用シーンに合わせて、照明や植栽の設置もできる。
さらに、型枠が不要で材料ロスを抑制する他、ブロック形式を採用したことで組みばらしによるリユースも容易だ。
前田建設工業では、新技術をはじめとする建設分野の3Dプリンティング技術の開発と活用を推進し、建築物や土木構造物などのデザインや構造の自由度を高める。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 脱炭素:環境配慮コンクリと3Dプリンティング技術を融合、高機能柱部材を開発 大成建設
大成建設は、CO2排出量収支マイナスの環境配慮コンクリートと3Dプリンティング技術を融合した高機能な柱部材を開発した。埼玉県幸手市で建設中の「大成建設グループ次世代技術研究所」のエントランス柱として、実工事に初適用した。 - デジタルファブリケーション:木の粉で高さ1.9mの“茶室”を3Dプリント 三菱地所設計が木材資源の循環システムを構築
三菱地所設計は、木材加工時に生じる木の粉を再活用する生産システムを構築した。設計から、製造、3Dプリンティング、物流、現地での組み立てまでのプロセス全体でCO2排出量を抑制する。プロトタイプとして、木質3Dプリント建築物「TSUGINOTE TEA HOUSE」を制作し、コンセプト映像とともに三菱地所設計 本店エントランスに展示している。 - デジタルファブリケーション:Lib Workの3Dプリンタ住宅、2025年に一般販売へ 建築基準法に適合した住宅として認定
Lib Workは土を主原料とした3Dプリンタ住宅のモデルハウス「Lib Earth House “modelA”」について、都市計画区域内で建築確認申請を行い、建築確認済証を取得した。 - デジタルファブリケーション:3DプリンティングとCO2固定化コンクリで、環境負荷低減の“友禅流し”ベンチ製作 金沢工大と鹿島建設
金沢工大と鹿島建設は、CO2で固まるコンクリートを素材に用い、3Dプリンティングで公園のベンチを製作した。今回の産学連携の取り組みで、設計から製造に至るプロセスのデジタル化と、景観に馴染む意匠を表現するための複雑な形状の実現を実証。さらに、3DプリンティングとCO2-SUICOMの融合で、セメント系造形物として、カーボンネガティブとなる3Dプリンティング製作を達成した。 - 大手ゼネコンの建設DX戦略:大林組が見据えるデジタル戦略の現在と未来 BIM生産基盤による“生産DX”
大林組は、収益の根幹となる「生産DX」、生産DXを下支えする「全社的DX」、全てのデジタル化とDXを担保する「情報セキュリティの強化」を骨子に、デジタル戦略を展開している。複数の変革とデジタル深化で、挑戦を続ける大林グループのデジタル戦略の現在と未来をセミナーレポートを通して紹介する。 - 3Dプリンティング:3Dプリンティングで意匠性の高いコンクリが実現 三井化学が型枠用の新樹脂を開発
三井化学は郡家コンクリート工業と共同で、樹脂3Dプリンティング技術を活用し、意匠性の高いコンクリートを製造する技術を開発した。意匠設計の自由度が高まるとともに、3Dモデルから直接出力するため工期の短縮も可能だ。新製法の展開により、土木建築製造現場のDXを推進する。