なぜ建設業界でアジャイル開発が重要か? 認知度や活用状況を調査、Arent:調査レポート
Arentは、建設業界でのアジャイル開発の認知度や活用状況を調査した。その結果、「アジャイルを知らない」と回答した企業が過半数を占め、アジャイル開発手法の認知度や活用状況について業界内で大きなギャップが存在していることが明らかになった。
Arentは2025年2月4日、建設業界でのアジャイル開発の認知度や活用状況に関する実態調査結果を発表した。調査期間は2024年7〜12月でセミナーや展示会などのイベント会場で建設業界従事者にアンケートを実施し、299件の有効回答を得ている。
なぜアジャイル開発が重要か?
アジャイル開発とは、短いサイクルで開発を進め、現場のフィードバックを反映しながら改善を繰り返す手法を指す。建設業界が多くの業務のベースとなっている長年の経験や職人の勘に依存する“暗黙知”を徐々に形式知へと変換できるため、システム構築の最適化が期待できる。
調査結果では、「アジャイルという思想(手法)を知っている」と回答した割合は49.6%にとどまり、「知らない」と回答した企業が50.4%と過半数を占めた。
業務でアジャイル手法を「全面的に取り入れている」と回答した企業は1.9%、「一部取り入れている」と回答した企業が28.2%。「取り入れていないが検討中」が5.8%、「取り入れていない」が18.1%、「わからない」が45.9%となっている。
社内のシステム開発でアジャイル手法を「全面的に取り入れている」と回答した企業は1.5%、「一部取り入れている」と回答した企業は21.8%。「取り入れていないが検討中」は5.4%、「取り入れていない」は16.9%、「わからない」は54.4%。
Arentは調査結果を受け、アジャイル開発手法の導入状況は建設業界においてまだ初期段階にあると分析。想定される要因として、手法自体の認知度の低さや既存業務フローの制約を挙げる。
しかし、アジャイル手法の柔軟性や迅速なプロジェクト進行を活用することで、業務効率や競争力向上につながる可能性があると利点を強調する。
今後は、小規模なプロジェクトでアジャイル手法を現場ごとに試行し、その成功事例を業界内で共有することで、他企業に波及させることが有効と提言。また、導入に向けた啓発活動や教育を強化し、具体的な実践方法を広めることが重要としている。
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