キンドリル、大成建設が進めるBIMと建物IoTデータを統合管理する次期「LifeCycleOS」の開発支援:FM
キンドリルジャパンは、大成建設のBIMと建物のIoTデータを統合管理するシステム「LifeCycleOS」のアップデート開発で、アジャイルやユーザーエクスペリエンスの構築などで支援する。
キンドリルジャパンは、大成建設が進める建物のスマート化を支援するため、BIMとIoTを融合した建物プラットフォーム「LCOS(LifeCycleOS)」や建物ライフサイクル管理サービス「LCMC(LifeCycle Management Console)」について、パブリッククラウド環境の構築や運用支援と、次期LCOSの開発支援を2022年9月から開始した。
LCOSを利用するユーザー向けヘルプデスクの提供を2023年4月から試験運用を始めており、データ分析による検証を踏まえ、本格展開を目指す。
大成建設が進める建物のスマート化に向け、クラウド活用を幅広く支援
大成建設は、ビルや施設の設備稼働情報に関する管理運用の最適化を目的としたデジタル基盤として、2021年2月にLCOSをクラウド「Microsoft Azure」に構築した。LCOSは、設計・施工に活用しているBIMデータと建物の運用管理情報を組み合わせてカスタマイズした「サービス用BIM」に、竣工後に蓄積していく各種データ(IoT管理・ロボット管理・施設管理・エネルギー管理など)を紐(ひも)付け、建物機能の継続的なアップグレードを可能にする統合管理システム。
2022年8月には、LCOSから取得したIoTデータを活用して建物管理を自動化するサブスクリプション式サービスLCMCの提供を開始した。現在は、ISMSの国際標準規格「ISO 27001」や「ISO 27017」の認証を取得するなど、セキュリティ強化についても積極的に取り組んでいる。
こうした取り組みを加速して、建物保守業務の効率化や不動産価値向上を推進するためには、安心・安全・安定の高度なクラウド環境の構築や運用と、サービス提供に必須となる顧客満足度向上のための優れたヘルプデスクが求められていました。
キンドリルは、パブリッククラウドの運用として、構成管理、インシデント管理、バックアップ運用といった運用作業支援を行う。また、次期LCOSの開発支援として、アジャイルやユーザーエクスペリエンスの構築もサポート。さらに、キンドリルの重要な技術領域の1つ、デジタルワークプレース分野で、ヘルプデスクの構築や運用の試験運用をスタートさせ、集積できたデータを分析して、さらなる運用の向上を図る。
キンドリルジャパン 代表取締役 社長執行役員 上坂貴志は、「大成建設は、建設プロジェクトの技術力と建物設備のエンジニアリング力を持ち、施設全体を対象とする一貫したサービスを提供しながら、人々が豊かで文化的に暮らせるレジリエントな社会づくりを進めている。そして、加速させるのはデジタルの力、ITとのさらなる融合であり、当社のマルチ/ハイブリッドクラウド環境における知見、IoTやAIといった先進的な専門性、CX(カスタマーエクスペリエンス)向上に欠かせない最先端のヘルプデスクといった技術力だ。大成建設をご支援することは、社会成長の生命線を目指すキンドリルにとって同じ思いを分かち合うことであり、まさに未来を築くパートナーとして共に建物のスマート化を推進し、次世代の社会基盤を支えていける」とコメント。
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