東京農大に純木造3階建て学生寮が完成、競技パフォーマンスへの効果を検証:木造/木質化
住友林業が設計・施工を手掛けた東京農業大学 世田谷キャンパスの純木造3階建て学生寮「青雲寮」が完成した。青雲寮には陸上競技部の学生が入寮予定。住友林業では木造建築が心身の健康や競技パフォーマンスに与える効果を検証する。
住友林業は2025年2月25日、設計・施工を手掛けた東京農業大学 世田谷キャンパスの純木造3階建て学生寮「青雲寮(せいうんりょう)」が完成したと発表した。陸上競技部の学生が2025年3月に入寮予定で、住友林業は青雲寮において、木造建築が心身の健康や競技パフォーマンスに与える効果を検証する。結果は2026年に発表予定。
青雲寮は木造3階建て(在来軸組工法、準耐火建築物)、敷地面積1046.52平方メートル、延べ床面積1250.39平方メートルで、部屋数は2人部屋26室(52人収容)。2025年1月31日に竣工した。
住友林業は東京農業大学の協力を得て、2025年8〜12月の期間、青雲寮で床の硬さ、光、温湿度、香りや寮生の心理的/生理的な状態を測定する。RC造/S造の非木造建築を木造に変える効果を定性的/定量的に立証することで、快適な空間設計と木造建築の価値向上を図る。
青雲寮の構造材/外壁材/内装材/羽柄材を含む木材使用量は約300立方メートルで、そのうち約7割は国産材だ。国産材の約3割は、学生が林業の研究や実習で利用する奥多摩演習林で伐採した。
奥多摩演習林の木材は、外壁、食堂の柱、梁(はり)、階段に使用。学生が木材の生産から加工、利用過程まで体感できるようにした。青雲寮の炭素固定量はCO2ベースで316.874トンと試算している。
住友林業の企業内研究機関「筑波研究所」では、木の総合的な活用に向けて、木や緑の持つ機能や特性、心身に与える効果を研究している。これまでの研究で、木は視覚、触覚、嗅覚から得られる刺激を通してリラックス、疲労軽減、免疫力向上の効果があることを確認している。
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