クレーン接触事故を防止するGNSS衝突危険警報システムを実用化:製品動向
清水建設グループのエスシー・マシーナリは、接触事故防止を目的にGNSS衝突危険警報システム「クレーンアシスト」を開発した。高精度な3D座標データから稼働中のクレーンのブームの位置と向きをリアルタイムに検出し、接触の危険性をオペレーターに警告する。
清水建設は2025年2月6日、グループで建設機械のレンタル事業などを展開するエスシー・マシーナリが、GNSS衝突危険警報システム「クレーンアシスト」を開発したと発表した。今後、1台当たり月額12.5万円でレンタルを開始する。
複数のクレーンが稼働する現場や、送電線/通信用電波の送信ルートなどで作業空間が制限を受ける現場では、クレーンの接触事故が懸念される。クレーンアシストは接触事故防止を目的に開発したブームの位置測位システム。高精度な3D座標データから稼働中のクレーンのブームの位置と向きをリアルタイムに検出し、接触の危険性をオペレーターに警告する。日本版GPS「みちびき」の機能を利用し、センチ単位の測位が可能だ。測位誤差は12センチ以下。
構成機器は、クレーンのブーム先端と下端付近にそれぞれ設置するGNSSアンテナと受信機、キャビン内に設置するルーターボックスとタブレットから成る。ブーム先端/下端の緯度/経度/高さを0.2秒間隔で測位し、位置や向きなどの検出結果を敷地の座標が入力されているタブレットの画面上に表示する。
複数のクレーンが稼働する現場では、自機ブームと最も近い位置にある他機ブームとの最短距離を検出。タブレット画面上では、検出結果とクレーン簡易モデルの動きを連動させ、各機の位置関係やブームの向きをリアルタイムに表示する。他機ブームとの距離が一定以下になると、危険レベルに応じて画面の背景色が黄(注意)/橙(危険)/赤(停止)の順に変化し、これに応じて警報音量も大きくなる。危険レベルを検出する距離は任意に設定可能だ。
また、作業空間に制限がある現場では、空間の境界面の座標をあらかじめシステムに入力することで、ブーム先端と境界面の最短距離を検出できる。衝突防止の場合と同じく、画面背景色の変化と警報音でオペレーターに危険性を認識させる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
カーボンニュートラル:AWSが日本に新設するデータセンターに低炭素コンクリ採用、竹中工務店/清水建設/大林組と連携
AWSは竹中工務店、清水建設、大林組など複数のゼネコンと連携し、日本に新設するデータセンターの建設に低炭素コンクリートを使用する。大阪・関西万博:視覚障がい者を誘導する“スーツケース”にAIの「音声ナビ」機能搭載 万博で実証
日本科学未来館やオムロン、清水建設、アルプスアルパイン、日本アイ・ビー・エムは、大阪・関西万博での実証実験に向け、視覚にハンディキャップがある人をナビするロボット「AIスーツケース」の新モデルを開発した。デザインを刷新した他、道路状況を音声でアナウンスするAIを搭載し、段差を乗り越えるための車輪やストッパーも取り付けた。導入事例:清水建設がオプティムのスマホ測量ソリューションをコーポレートライセンス契約
清水建設は、オプティムの高精度3Dデータを取得できる測量と業務効率のアプリ群「OPTiM Geo Scan」で、5ライセンス以上の年間契約となるコーポレートライセンスの採用を決めた。伴走型サポートやレンタルスキームなどを決め手に挙げている。サーキュラーエコノミー:清水建設が廃棄する作業用ユニフォームを土壌改良材に再資源化、CO2排出量8割減
清水建設は不要になった作業用ユニフォームを炭化し、土壌改良材として再資源化する取り組みを開始した。廃棄に伴うCO2発生量を焼却処分と比較して約80%削減できるという。第一弾として作業用ユニフォームのデザイン/機能刷新に伴う約14万着、累計60トンの再資源化に取り組む。現場管理:清水建設550作業所にビットキーの顔認証スマートロック導入、勤怠管理システムと連携
清水建設は、全国約550カ所の作業所事務所と一部支店に、ビットキーのコネクトプラットフォーム「workhub」と顔認証に対応したスマートロックを導入した。既存の勤怠管理システムとも連携し、入退室時の顔認証の時刻が勤怠管理システムに自動で反映し、勤務場所の滞在時間が分かるようになった。プロジェクト:金沢駅前に高層テナントオフィスビル「Hirooka Terrace」開発、オーエフが統括ベンダーとして参画
北國フィナンシャルホールディングスは石川県金沢市で、地上13階建ての高層テナントオフィスビル「Hirooka Terrace」の開発を進めている。このプロジェクトに、オーエフが統合ネットワーク構築の統括ベンダーとして参画する。