清水建設が廃棄する作業用ユニフォームを土壌改良材に再資源化、CO2排出量8割減:サーキュラーエコノミー
清水建設は不要になった作業用ユニフォームを炭化し、土壌改良材として再資源化する取り組みを開始した。廃棄に伴うCO2発生量を焼却処分と比較して約80%削減できるという。第一弾として作業用ユニフォームのデザイン/機能刷新に伴う約14万着、累計60トンの再資源化に取り組む。
清水建設は2025年1月14日、不要になった作業用ユニフォームを炭化し、土壌改良材として再資源化することで、廃棄に伴い発生するCO2を削減する取り組みを開始したと発表した。第1弾として作業用ユニフォームのデザイン/機能刷新に伴う約14万着、累計60トンを回収。以降も年間約3万着、15トン程度の着古したユニフォームを継続的に回収する計画だ。
清水建設は2024年11月から新旧作業用ユニフォームの交換を進めている。処分するユニフォームが膨大な量になることから、再資源化を検討する中、衣類を土壌改良材に再資源化するスタートアップ企業クレサヴァの技術「CIRCULAR FARM(サーキュラーファーム)」に着目。繊維から製造する土壌改良材の効能や安全性を検証した上で、クレサヴァにユニフォームの再資源化を依頼した。
再資源化に当たってはまず、清水建設が不要になった作業用ユニフォームを従業員から回収。回収した衣類は、クレサヴァが産業廃棄物の処分/リサイクル業者Landeoと連携し、破砕粉砕処理を行った後、ファスナーやボタンなどの付属品を分別回収してから炭化処理を行う。化学繊維などに含まれる有害物質やマイクロファイバーは炭化処理の過程で熱分解により無害化。完成した炭1トン当たりから、10平方キロの範囲に散布できる量の土壌改良材が製造される。
炭化処理の過程ではCO2が発生するが、クレサヴァの試算によると、焼却処分に比べてCO2発生量を約80%削減できるという。ユニフォーム回収による炭の焼成量は、旧ユニフォームの炭化処理で約8トン、以降は毎年約2トンを見込んでいる。
清水建設は今後も不要になったユニフォームの回収/再資源化を継続しCO2発生量の抑制を図ると同時に、将来は自社で植林を進めている林地や、子会社が運営する菜園などでの土壌改良材の有効活用、炭の建材化を通じ、グループ内でのユニフォームの完全リサイクル実現を目指す。
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