北海道新幹線工事に遠隔臨場を導入、鉄道・運輸機構と安藤ハザマ:遠隔臨場
鉄道建設・運輸施設整備支援機構と安藤ハザマは北海道新幹線工事「渡島トンネル(上ノ湯工区)」において、切羽確認、生コンクリートの品質確認試験、コンクリート施工確認などの立ち会い検査を、遠隔臨場で実施した。
鉄道建設・運輸施設整備支援機構と安藤ハザマは2025年1月15日、北海道新幹線工事「渡島トンネル(上ノ湯工区)」において、トンネル最先端部の地質状況を確認する切羽確認、生コンクリートの品質確認試験、コンクリート施工確認などの立ち会い検査を、遠隔臨場で実施したと発表した。
北海道新幹線工事では遠隔臨場の本格導入を目指し、上ノ湯工区をモデル工区として、さまざまな立ち会い項目を遠隔臨場で実施している。安藤ハザマは、遠隔臨場などの各種ICTの運用を支援するため、高速大容量のデータ通信が行える汎用的な情報通信基盤を構築、運用している。
遠隔臨場の導入に当たっては、トンネル坑内に無線LANネットワークを構築。設備は、Web会議システム「Microsoft Teams」、開始当初の撮影機材として望遠ズーム付き一眼レフカメラ、高機能ノートPC、スマートフォン、ウェアラブルカメラ、イヤフォンマイク、ジンバルを用意した。追加機材として、撮影用の「Go pro」と防塵(じん)対策加工済みの遠隔臨場支援システムPCを導入している。
取り組みの一例として、切羽確認は実施当初、スマートフォンや一眼レフカメラを使用して行っていたが、画質の低下や音声の途切れなどで正確な確認ができないケースがあった。そこで、撮影機材を追加導入し、坑内通信設備を大容量高速通信対応に改良した結果、映像と音声の品質が向上し、機構事務所からの切羽確認が実施できるようになった。
また、遠隔臨場の導入により、経験の浅い若手職員をベテラン職員がリアルタイムに支援できるようになった。若手職員が現場巡回中に疑問に感じたり判断に迷ったりした内容を、事務所に持ち帰って質問したり調べたりするのではなく、現場状況の映像を中継しながらベテラン職員へ直接質問できる。これにより、即座に問題解決ができ、業務効率化にもつながった。
現場詰所から切羽付近までの区間に低速/高速の光ケーブル通信網構築
遠隔臨場において高品質な通信環境を維持するため、現場詰所から切羽付近までの区間に、低速(約1Gbps)と高速(約10Gbps)の光ケーブル通信網を構築した。低速は主に工事関係者のコミュニケーション用、高速は複数台の4〜8K相当の高精細カメラで得られた映像などの同時伝送用に、利用用途を区別した。
また、従来の通信網は一筆書きの経路で、通信機器の故障やケーブル断線が発生した場合、全ての通信が途絶して復旧まで通信できないという課題があった。今回は通信ケーブルの断線が想定される作業箇所で、有線通信と無線通信を組み合わせ、複数の経路を用意。通信が切断しても新たな通信経路に即座に切り替え、数秒での通信再開を可能とした。これを実現するネットワーク監視システムも併せて構築した。
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