大林組が都市型DC事業に参入、10年で1000億円投資 31年度に40MW級のDC群構築:産業動向
大林組は、データセンターを開発/運用する新会社「MiTASUN」を設立し、都市型DC事業に参入する。第1弾のDCを2028年度に東京都港区に開設する他、すでに都内で第2弾の用地も確保。今後10年以内に総額約1000億円を投じる。
大林組は2024年11月11日、データセンター(DC)の開発と運用を目的とした新会社「MiTASUN(ミタサン)」を設立し、都市型DC事業に参入すると発表した。第1弾のDCを2028年度に東京都港区に開設する他、既に都内で第2弾の用地も確保。今後10年以内に総額約1000億円を投じる計画だ。将来は東京都心で「ハイパースケール」と呼ばれる大規模DCに匹敵するDC群の構築を目指す。
AIの進歩やクラウドサービスの利用拡大に伴い、2022年に2兆円だったDCの市場規模(売上高)は、2027年には4兆円に拡大すると見込まれている。今後は、大都市圏の郊外部に集中する大規模な「郊外型DC」に加え、エッジコンピューティングの需要を背景に、データ需要地に近接した「都市型DC」の需要が高まるとみられている。
都市型DCの建設では事業用地の確保が課題となるが、新会社では、大規模オフィスビルの大量供給などで慢性的に空室を抱えた中規模ビルを活用。大林グループが有する建設事業のノウハウや技術力、開発事業のネットワークや知見をもとに、空室を抱える既存ビルを、中容量の電力消費に抑えたDCに改修、建て替えを行う。
大林組は今後、国内外の多方面のパートナーとのアライアンスを積極的に推進し、他社が保有するビルのDC化や、他DC事業者との相互接続により、2031年度までに40MW級のDC群構築を目指す。
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