中国の最新“空飛ぶクルマ”で都市と空を結ぶ未来の交通 AirXが2030年に事業開始:Japan Drone 2024(2/2 ページ)
中国EHang製の自律型無人機による実証実験の成功やEveとのeVTOL購入契約締結など、着実な歩みを見せるAirX。2030年の事業化を目指し、「Japan Drone 2024」で“空飛ぶクルマ”の実機展示とVR体験で未来の空の交通を提示した。
都市部での活躍が期待されるEve社の次世代エアモビリティ
さらにAirXは、VR技術を活用した空飛ぶクルマの飛行体験コーナーも用意した。体験できるのはEve Air Mobility(以下、Eve)が開発を進めるeVTOL(電動垂直離着陸機)だ。 Eveは、ブラジルの大手旅客機メーカーEMBRAER(エンブラエル)のグループ会社。eVTOLや航空交通管理システムなど、都市型エアモビリティ(UAM: Urban Air Mobility)エコシステムの開発を行っている。
VR体験では、eVTOLの離陸から着陸まで、リアルなフライトシミュレーションを提供。エッフェル塔やゴールデンブリッジ、オペラハウスといった世界的な観光地の上空を遊覧する臨場感あふれる映像で、空飛ぶクルマで実現する未来の空の旅を先取りする内容となっていた。
AirXは2024年4月、EveとeVTOLの購買権に関する基本合意書(LOI:Letter of Intent)を締結した。契約によりAirXは、最大10機のeVTOL確定オーダーと40機のオプション購入権を取得した。さらに、Eveが開発する都市型航空交通管理ソフトウェア「Vector」の導入も決定している。ブース担当者は「垂直離着陸できるeVTOLは、離着陸スペースが限られる都市部での運行に適している。2027年ごろからの国内展開を目指したい」と展望を語った。
空飛ぶクルマ、革新の序章
2024年9月、大阪・関西万博の開催まで半年を切る中、展示の目玉として注目を集めていた空飛ぶクルマの商用運行断念のニュースが伝えられた。多くの人が期待を寄せていただけに、このニュースは残念なものだっただろう。
ただし、断念の理由は、安全性の証明手続きが万博開催までに間に合わないというもの。つまり、空飛ぶクルマという革新的な技術の導入に際し、運航の安全性を最優先しての決定であって、空飛ぶクルマに期待される「都市部での移動時間の短縮、離島や山間部での移動の利便性向上、災害時の救急搬送や物資輸送の迅速化」といった有用性や価値自体が否定されたわけではない。世界に目を向けると、EHangやEveをはじめとする企業が、空飛ぶクルマの研究や開発に精力的に取り組んでいる。
近い将来、私たちの移動手段や都市の在り方に革命をもたらす可能性を秘めた空飛ぶクルマ。AirXの挑戦が、新たな空の時代の幕開けとなることを期待したい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- メンテナンス・レジリエンスTOKYO2024:インフラ維持管理を3D点群で一元管理する“3次元点検台帳”、ドローン点検で著名な三信建材工業が提供
防水や塗装、補修の工事では、その前段階で入念な調査が必要となる。2014年からドローン点検に取り組んできた三信建材工業が提供する「3次元点検台帳」は、ドローンで取得した画像データをもとに3次元の点群モデルを構築し、各種点検情報をひもづけることで、従来の点検管理の問題だった非効率が解消される。 - ドローン:離着水や海上航行が可能な海洋観測ドローンを開発、五洋建設とプロドローン
五洋建設とプロドローンは、離着水や海上航行が可能な海洋観測ドローン「Penta-Ocean Vanguard-DroneAqua」を開発した。 - ロジスティクス:都内最大級、延べ25万m2超の物流施設が板橋区に竣工 ドローン実験場も併設 三井不など
三井不動産と日鉄興和不動産が共同開発した都内最大級の街づくり型物流施設「MFLP・LOGIFRONT東京板橋」が、2024年9月30日に竣工した。 - ドローン:打診と同等性のあるドローン赤外線調査システム「CONS-FINDER SKY」
コンステックと建設環境コンサルティングと共同で運用するドローン赤外線調査システム「CONS-FINDER SKY」が、日本建築防災協会の技術評価を取得した。国土交通省が定める打診との同等性が認められている。 - ドローン:LTE制御のドローンで片道1km超の河川巡視、NTTイードローン
NTT e-Drone Technologyは、琵琶湖南端にある瀬田川洗堰でドローンによる河川巡視を行い、LTE通信を用いた映像伝送や機体制御を検証した。約1キロ先でも機体制御、映像伝送が可能なことなどを確認している。 - 産業動向:九電工とクラウド型ドローン測量システムのスカイマティクスが資本業務提携
九電工と産業用リモートセンシングサービスの開発/販売を手掛けるスカイマティクスは資本業務提携した。九電工の建設や林業などのDX推進の取り組みと、スカイマティクスのクラウド型ドローン測量システムやソフト開発力を掛け合わせ、新規ビジネスの創出を目指す。