YKK APの玄関ドアで不適合製品が判明 マンションなど全国2105棟で交換:産業動向
YKK AP製のスチール採光窓が付いた玄関ドアの一部で、ガラス溝部や枠の気密材で国の仕様に適していない製品が施工されていた。対象の建物は合計2105棟で、同時期に製造販売した製品が施工されている115棟も含め、YKK APが交換していくという。
YKK APは2023年4月21日、国土交通大臣認定の仕様に適合しない「特定防火設備(片開き戸)」を販売し、必要な改修が行われていないことが判明したと発表した。対象物件は、1996年4月から2007年12月の間に施工された集合住宅やオフィスビルなど、秋田県を除く全国の2105棟(約2万6000セット)で必要な是正工事を実施していく。
不適合の製品は、2007年までに製造販売した特定防火設備(スチール採光窓付玄関ドア)の一部で、国交大臣認定の仕様に適合していなかった。具体的には、ガラス溝部にバックアップ材を使用しておらず、また、枠の気密材にクロロプレンゴムを用いるところEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)を使っていた。
不適合製品が判明した理由は、2007年に国交省の「防耐火関連の大臣認定に関する実態調査」に基づき、実態調査したところ、一部で大臣認定(EA-9282)の仕様に適合しない製品を製造販売していたことが分かった。その後、社内試験を経て特定防火設備としての性能を満たした仕様で新たな大臣認定を取得した。
2008年の大臣認定取得に際し、指定性能評価機関と協議を行ったところ、製品仕様が4種類に分類されたが、性能試験で1仕様が合格したため、合格した仕様に基づき新たな大臣認定を申請。YKK APでは、取得した大臣認定(EA-0259)で、4種類の仕様を全て包めて認められたと誤認し、試験不合格となった3仕様は現在まで未改修のままとなっていた。
YKK APでは今後、対象の2105棟について必要な是正工事を行い、試験不合格となった3仕様と同時期に製造した製品で、2008年に大臣認定(EA-0259)を取得した製品が施工された115棟も、新しい製品に取り換えるとしている。
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